化け物

 魔力欠乏症を治すには、魔力操作を教えてもらわなければいけないと言ったが、まだこの世界には大雑把にですら操作出来る人は、トップ層以外居ないと思われる。


 つまりまだ魔力の存在が生活に染み付いておらず、殆どの人が扱う感覚が分からないので原因を突き止められず、不治の病とされ効果のない鎮痛剤を処方され続けていたのだ。


 だがそれは今日で終わる。強制的に僕が魔力を貯めてやるからだ。

 白夢さんの体が漏れ出る魔力を解析する。そして自分の体内の魔力を、相性良くなるように変換し、白夢さんが蓄積出来る半分程度まで一気に流し込んでいく。けれどかなり注いだのに魔力は溜まっていかなかった。

 

 「まじかよ!?」


 流れ出る分もあるが、白夢さんの体内で溜め込める魔力の量が多く異常すぎるのだ。

 少しずつは溜まっているのだが、コップに水を注ぎ風呂に流して貯めているような感覚で全体像が掴めず、全くもって終わりが見えない。


 これは魔力が枯渇すると、蓄積出来る魔力量と回復力が大きく成長する事が原因になる。僕が毎日やっているトレーニングと一緒で、魔力量を伸ばす為一度魔力を全部流し出し、枯渇したところで回復させると効率良く限界を伸ばせる。


 これを繰り返す事で成長するのだか、魔力が枯渇した時がきつく通常は即座に回復させる。しかし白夢さんはそのきつい状態で二十四時間いるので、有り得ないレベルで成長したのだ。


 その為に無理やりスピードをあげて魔力を貯めていくのだが、なかなか溜まりが悪く途中で魔石を割って回復するまでしなければならなかった。


 けれどそのおかげで、大体半分程度魔力が溜まり、表情がだいぶ良くなって一安心着くことが出来た。


 「良かった。これでもう大丈夫なはず」


 しかしそう思っていたのは大きな間違いだった。


 「ふざけんな!」


 せっかく白夢さんに溜め込んだ魔力が、一気に大量噴出したのだ。

 僕は急いで魔力を再度流し込み、体内から出ていく分を相殺していく。

 しかし効果は無く、注ぎ込む魔力量より出ていく量が多く、出口を軽く塞いだ程度で段々と少なくなっていき、また苦しそうな顔になってしまった。


 魔力を無理に使っているので体が暑く発汗し、有り得ないほど汗が流れ倦怠感が現れてくる。魔力が無くなり脳に響く痛みが現れ、魔石で回復しまた注ぎ込むを繰り返す。


 「ハルト辞めて!ハルトが壊れちゃう!」

 

 夏希は僕に抱き着いて邪魔をしてくる。

 早くしないと白夢さんが大変な事になりそうなのに、どうして邪魔をするんだ。


 「邪魔するな!」


 体に巻き付く夏希の腕を剥がして押し飛ばした。背後では机とぶつかり倒れる派手な音がする。


 「痛った!」


 夏希を押し飛ばした時に、硬い何かが手に押し込まれているのを感じた。何があったのか素早く頭を回転させる。そして導きだしたのは今一番欲しかったものだった。


 「夏希は指輪を寄越せ」

 「え!?あっうん」


 咄嗟とっさに言ったので、夏希は動きが悪くなかなか指輪を取れなかった。


 「もういい」


 そんな状態にイラついて無理やり手を掴み指輪を引っこ抜いた。


 「これで大丈夫」


 僕は白夢さんに指輪をめた。

 すると指輪に付与されている、体外へ出る魔力を抑える魔法が発動し、漏れる事は無くなりやっと一安心出来た。

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 今回の細かく区切る書き方と、そこそこ文を纏めた書き方どっちが見やすいですか?

教えて貰えると嬉しいです。



 二話 転生特典は「愛情」と「美食」でおねがいします 修正しました。気になる方は読んでみてください。大きく変更はしていません。


 コロ助での休載の為にしばらく注目作品にも乗らなく辛い状況です。

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