魔力欠乏症

 「大丈夫か!?」


 横向きに倒れている白夢さんを仰向けに倒し、顔を優しく叩いて意識を確認したが返事は無く、とにかく辛そうにしている。


 とりあえず脈を確認してみると、子供は一般的に早いとされているのだが、大人と比べても明らかに遅かった。


 「まずいな」


 僕はとりあえず、キュアを使って様子を見たが全く辛そうな表情に変わりは無い。


 「くっそ!効果が無い。とりあえずヒール!」


 一応体内が傷付き、何らかの影響を与えている可能性を考え、ヒールを使って確認しても効果は無く、焦りで体から汗が滝のように流れ出てくる。


 「原因が全く分からない」


 切羽詰まって苛立ちつつ、三つの机を横で並べ丁度良い子供サイズを作る。その上に無いよりマシだろうと毛布を敷き、白夢さんを横抱きにして乗せた。


 キュアの魔力量が足りなかったのかと予想し、大量の魔力で魔法を使う。けれど想像通りの結果に落ち着いてしまった。


 「くっそ!何がダメなんだ!」


 一般的に考えられる手は尽くしても成果が得られず、自分の無能さに苛立ちを隠せなくなり、勢い良く机を叩いて少量のストレスを解放したが、全く頭のキレは良くならない。


 「くっそ!やけだ未来の僕に頼る!」


 目に魔力を素早く集め、未来で治癒されている事を祈り未来視を発動させた。

 すると勢いで魔力を多く入れすぎてしまい、産まれてから死ぬまでの記憶が一瞬で脳に刻まれてしまった。

 多すぎる情報量に、モンスターのように発狂して何とか耐え、頭の中で記憶を整理していく。

 そこでやっと白夢という少女の一生を理解した。


 「気持ち悪る」


 僕が記憶した未来はろくなものでは無く、白夢さんの視点で流れ、直接感情が脳が入りこんでくる。

 精神がおかしくなりそうで、現実を拒んでもおかしくない人生を一瞬で味わい、キャパオーバーして吐き気どころじゃなく、精神を閉ざしてしまいそうになった。


 他人事だから耐えられたが、もし自分の事ならば自決していたかもしれない。

 そんな未来を消し去るには、白夢さんを今の症状から回復させるしかないと理解した。もし出来なければ同じ道を歩く事になるだろう。


 「ハルト大丈夫?」


 強い嘔吐感に襲われた僕を、夏希は心配して手を差し伸べてくれたが、それどころでは無く払い除けて体を魔力で調べる始める。


 「やっぱり」


 幸い白夢さんの一生の中に、症状の手がかりになりそうなものを見つけており、確認の為調べると予想していたものと完全に一致しており、病気が確定された。


 病気の名前は魔力欠乏症。

 その名前の通り魔力が足りなくなってしてしまう病気だ。これは前世だと、病気とは言えない程度の小さな症状でしかなかった。


 症状は単に体から魔力が漏れてしまっているだけである。僕達が魔力を手や体から出している事と全く変わりない。

 ただ白夢さんはそれが極端だったのだ。


 前世では小さい子供が魔力を漏れ出している場合がある。その時に大人から魔力の操作を教えて習い、微調整すれば簡単に治るものだ。それにもし漏れ出ても体に貯められる魔力の、数パーセントでしかない。

 だが今回白夢さんの症状は、そこが原因なのである。


 体を調べると体内に全く魔力が残っていなかった。作られた魔力がそのまま出ていき、生産量を露出量が上回り永遠に魔力がゼロになっている状態だったのだ。もちろんまったす魔力の操作なんて出来ないので、二十四時間枯渇させて生きてきた事になる。


 それの何がダメなのかと説明すると、魔力が減っていき少なくなると、吐き気や頭痛に体調不良等に襲われるのだ。白夢さんは魔力が無くなり永遠に回復せず、一番苦しい状態を小さな頃から耐え続けていた事になる。


 そのせいで吐き気や頭痛に体調不良に二十四時間追われ、魔力が足りないせいで体の動かす時に使う分も無く、力や免疫力は並の数倍少なくなっているだろう。



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 今回の細かく区切る書き方と、そこそこ文を纏めた書き方どっちが見やすいですか?

教えて貰えると嬉しいです。



 二話 転生特典は「愛情」と「美食」でおねがいします 修正しました。気になる方は読んでみてください。大きく変更はしていません。


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