夏希先生は友達が沢山出来た

 「いつからこんな風に?」


 美雪先生の照れ顔は永遠に見ていたいけれど、残念な事に子供達に勉強を教えるという仕事があるのでサクッと復活してもらう。

 ただもう少しだけ独占させてもらいます。


 「えっとね、ダンジョン遠足が終わって、最初の勉強時間だよ」


 美雪先生は黒板に寄りかかり、懐かしむように斜め上を見て語り始めた。


 「勉強中に誰かが分からない問題を考えていたの。その時夏希ちゃんが集中出来なくてぼーっとしてたら、その子が目に入って気まぐれで解き方を教えてみると、説明の評判が良かったんだって。それで皆に教えて欲しいってお願いされたらしいよ」

 「夏希にそんな才能があるとわね」


 感心して夏希を見ると一人だけ立ち、女の子に教えこんでいた。そして遠くから呼ばれてまた教えて戻るを繰り返している。

 傍から見ると大変そうに見えるが、本人はこの上なく楽しそうで生き生きしていた。


 「一人で教えてたから、私が皆で教え合ってみたらどうか提案したらこうなったの。小さい先生が増えたおかげで、私は時間が取れて皆は点数が伸びたのよ。仕事が減ったのは寂しいけど、他にも沢山あるし楽しそうに勉強してるから嬉しいわ」


 そう言って美雪先生はグッと腰を伸ばし、教卓のプリントに手を出した。


 「一人勉強しない人が居るけどね」

 「その人と答え合わせするから良いの」


 赤ペンを持った手で口を隠し、クスリと笑う美雪先生は、辞書に見える小テストの束を教卓の横にある余りの机に置いてくる。


 「じゃあ勉強しない人は小テストの答え合わせお願いします」

 「えー。しょうがないなー」


 僕はやりたくなさそうにワンクッション置き、やれやれ感を出しつつ両手で赤ペンを持ち、久しぶりの答え合わせを始めた。


 「もうちょっと聞いてくれる?」

 「そりゃもちろん」


 美雪先生はまだ語り足りない事があるらしく、答え合わせの片手間に許可を出した。するとありがとうと言われ、発色の良い艶のある唇が動く。


 「私が居ない時に、いつの間にか夏希ちゃんが教えてたの。それで何が起こったのか聞いたら、ハルト君を心配してて暗かった顔が明るくなってて、友達沢山出来たって言ってて、泣きそうになっちゃった。あの怒りん坊さんにまた友達が出来るなんて」


 美雪先生はプリントとにらめっこをしながらら微笑んでいた。


 「お母さんが目覚めた事が大きかったのかな」


 僕は細く棒状のチョコが着いたお菓子、ペッキーをポリポリと食べながら答える。ついでに美雪先生にあげると、パクリと咥えられいけないものを見ているような気分になった。

 そのせいでスティックから剥がれたチョコが小テストに落ちてしまい、慌てて生活魔法のクリーンで汚れを落とす。

 そんな姿の僕を美雪先生は意外そうな顔をして見つめていた。


 「多分ね。ハルト君その事知ってたんだ」

 「まぁね。目覚める時病院居たし」

 「なるほど」

 「てか美雪先生まだここに居て大丈夫なの?」

 「ん?」


 立て掛けてある時計を見ると教室に来てから五十分以上経っており、もうすぐ新しい子が来ると言っていた時間になっているので、無理やり話を変えて質問した。


 「そろそろ来るんじゃないの?お迎えは要らないの?」

 「もうそんな時間!?」


 そう言われて美雪先生は腕時計を急いで見ると、大慌てで立ち上がり職員室に走っていった。するとどこからか走るなと怒られる声が聞こえてくる。

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 豆知識

 小テストとプリントの違い。

 ハルトは美雪先生からプリントではなく小テストが毎回渡され、渡した本人はプリント答え合わせします。

 それはハルトを信用しており、自分よりも正確で分かりやすく修正を入れられると思っているからです。


 二話 転生特典は「愛情」と「美食」でおねがいします 修正しました。気になる方は読んでみてください。大きく変更はしていません。


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