お母さんはノーメイクでも綺麗

 「汚いな。軽くだけ片付けてあげよう」


 空き缶やお菓子の包装等、見るからに捨てて良さそうなものだけを収納魔法に入れ、大事なものだったのにと言われないよう、紙やよく分からない部品はそのまま放置した。

 

 「何してたんだろう」


 お兄ちゃんは多分だが寝ずにパソコンを触っていたのだろう。たまに綺麗好きではないが、いつもしっかりと掃除しているのに机を盛大に汚す日がある。


 その日は集中している時で、最近だと鍵のクラウドと天使を打ち負かせを一気見していた時だろうか。どハマりして鼻すすりポテチとコーラ持って、パソコン前から動かなくなったのは懐かしい。

 あそこら辺は面白いから仕方ないね。名作中の名作でアフターストーリーは最高だったよ。感動と言ったらクラウド一択ですよ。異論認める。

 閑話休題

 

 どんなアニメを見ていたのか気になる。(いつの間にかアニメ固定)どうしても気になりほんの少し先っぽだけならと、キーボードとマウスに手をかけようとしたが、もし大人のお姉さん系だったら、どんな顔をすれば良いのか分からないので辞めた。兄弟でよそよそしいのは嫌だし。


 「何とか我慢出来た」

 「ハルトー!食べるよー!」


 お兄ちゃんの大きい声が聞こえ体がびくりとする。適当に返事をして急いで部屋から退出し、朝食を食べにダイニングに向かいサクッと頂く。


 「美味かった。味噌汁って言ったらこの味だよ」


 やっぱり味噌汁は慣れ親しんだものが一番だ。心と体がほっとする。適当に顆粒かりゅう出汁を使っているはずなのだがどうしてもこの味が飲みたくなる。

 

 「ハルト牛乳飲んでから行きなさい。お母さん聞いたんだけど、身長百七十センチ以下は人権ないんだって」

 「それ炎上してる奴ね。そんな事ないから安心して。ちゃんと人権あるから。それに身長が低くてもそれはそれで良いの。スピード型も大切なんだから」


 僕は天然で真に受けやすい化粧をするお母さんと軽く雑談をしながら、幼稚園へ出発する前に食器やフライパンをクリーンで汚れを取り、棚に直して食後ティータイムに始める。


 「おめかししてどうしたの?いつもはノーメイクで幼稚園に行って、奥さん相変わらず若いですわねをやるんじゃないの?」

 「失礼な事言わないで!ちゃんとUVケアの乳液塗ってるから!それに毎日化粧してたらお金が勿体ないし、幼稚園に行くまでに時間が無いのよ」


 チャチャッと一つを塗ってそれは果たして化粧をしているの言えるのだろうか?実際お母さんの肌は、主観的に見てももちもちですっぴんでも綺麗だから良いか。


 「じゃあ何で今日はメイクを?」

 「そりゃ私達でお買い物よ!」


 ラウは元気にドアを開けてお母さんのセリフを奪い、僕の胸へ走って飛び込んで来る。子供サイズのラウを、何とか全身で受け止める事が出来き、もしキャッチが下手くそで下の位置で受け止めていたら、朝ごはんを無駄にする所だったよ。


 「私とリンの分の服と化粧品を買いに行くの!」


 ずっと欲しがっていた念願の化粧品を買いに行けるらしく、テンションが上がりまだ家なのだが楽しそうにしている。


 「行く前に汗何とかしろよ。びちょびちょだぞ」


 抱きしめた時、体に水分を多く含んだ服が当たる感覚がして気持ち悪く、もしラウが男だった投げ飛ばしていた所だ。


 「臭かった?」


 恥ずかしそうに服の胸辺りを持ち上げ、匂いを嗅ぐラウのお腹とへそがチラりと見え、僕の中にある禁断の果実が目覚めそうな気がした。


 「普通に良い香りではあったよ。男も女の汗の匂いが好きな人も多いらしいしな。そんなもんだろう」

 


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