家族の愛は良いものだ
リンのお母さんが攻撃をされ、人間嫌いになった所を見ていたので、両親に頭を下げたのは心底驚いた。実はこの家で一緒に暮らすのも、僕と居る為に仕方なくだろうと考えるくらいだ。
そんなふうに思わせる程にマイナスイメージを持っているリンが、頭を下げたのは驚かない理由がない。
「だってそうしないとダメそうだったから。それに殆どの人間は嫌いだけど、全ての人間が嫌いなんじゃ無いんだよ。ハルトだってそうだし」
リンはこう言うが殆どの例外になるのは、元々僕と弟子の二人だけだった。
それがこの世界に来てから、まだ数人だか仲良くしようとしているのはよく分かる。何がそう変えさせたの気になる。
「殆どって仲が良かったの二人だけじゃん。いつから人と仲良くしようとしたの?」
リンは真っ直ぐ前を見て話していたのだが、体の向きを僕の正面にして目を合わせて教えてくれた。
「確かに前は二人だけだったよ。見るだけで殺意が湧くくらい。でも今のハルトは楽しそうじゃん。人間を疑って生きてたハルトを、こんなに楽しそうに出来るなら良い人なんだろうなって。それに今でも人間は嫌いだからちゃんと見極めてから仲良くしようとしてる。ハルトの両親も優しそうだったからだし、夏希もそうだね。あの子はハルト為に命をかけて頑張ったのだもん。きっと仲良く出来る」
「そうだな。仲良く出来るよ」
リンが僕を通じて人と距離を詰めようとしてる事が嬉しかった。リンに信頼されてる事が伝わったからだ。
「今の人生幸せ?」
また静かな無言の時間が来て少しが経つと、リンが呟くように聞いてきた。その質問の答えは今の僕を見ると分かる事だがしっかりと答えてあげる。きっと言葉にして欲しいのだ。
「ちょっとあっちに忘れ物はあるけど幸せだよ。大好きな家族が居て友達も出来てすっごい幸せ」
「それなら良かった」
安堵したような顔をしたリンは、残ったココアを一気に飲み干し小さい音を立てて、机にマグカップを置いた。
「久しぶりに感じたけど、家族の愛って良いものね」
多分今リンは死んだお母さんの事を考えているだろう。少しだけ顔が初めてあった時と似ている気がする。
「ああ」
「ねぇ抱きしめて」
リンは思いの
「分かったよ」
寂しそうなお願いに何も聞く事はせず、腕を上空に伸ばしリンを高めに持ち上げてから胸へ下ろしギュッと抱きしめた。
一、二分が経過しそろそろ充分だろうと顔を除くと、スースーと小さい鼻息を立ててぐっすり眠っていた。
重くなってきたので下ろそうとすると寝言が聞こえる。
「ママ、大好き」
リンは母親の事を呼ぶ時お母さんとしか呼ばない。
ママと呼んでいたのは母親が死に、しばらく時が過ぎて現状を受け入れてからだ。
つまり今は母親との夢を見て子供になっているのだろう。
小さい手は僕の服を掴んでおり、抱きしめるのはもうしばらく延長になりそうだ。
「もう無理腕きつい!」
一度リンを支え筋肉の限界を迎え、ヒールで回復させたのだが二度目の限界が来て、下ろす事に決めた僕は、掴まれている手を剥がそうと指を開かせる。だがリンはドラゴンの馬鹿力で掴まっており、無理に剥がすと服が破れると察知し諦めてそのままベットへ入る事にした。
「意外と悪くない」
片腕で支えながらベットに何とか入り、重いがどうしようも無いので仰向けでリンを乗せ、一夜を耐えるのだがこれが意外に悪くない。
そこそこある重さが、ふわふわと浮きそうな体を押さえられるような気がし、そこへリンの体温を感じ意外と落ち着く。なんだろうこの安心感。悪くないぞ。
リンの重みにぱっちり開かれた目は力を無くして閉じられていき、夜更かしする予定があっさりと改変されて夢の世界に
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