美雪先生からは甘い良い香りがする
「ケーキ美味しい!おかわりある?」
夢中になってケーキを完食したラウは、即座に二皿目を要求するが美意識の高いラウはそれで良いのだろうか?
「あるけどこのケーキかなりカロリー高いから、食べすぎると太っちゃうよ」
僕はラウへの優しさで向けたはずの言葉は、近くの二箇所からギクリと音が鳴った気がして周りを見ると、美雪先生と夏希の顔が引き
「大丈夫!ぶちかませば痩せるから食わせろー!」
カロリーを気にして後悔しているだろう二人に気付かないラウは、遠慮無しにケーキを
ちなみにラウが言っていたぶちかませば痩せるは、食べた物のエネルギーは魔力へ変換されるので、魔力を使えば痩せるという意味だ。
「ハルトもう一個」
「三つ目はダメ。また買わないといけなくなるでしょ。残りは僕の」
「そんなー!殺生な」
この世の終わりかのように残念がり、打ちひしがれるラウは机に顔を乗せ不貞腐れていた。
だがそこへ横から救世主が現れる。
「ラウちゃん、もし良けれ食べかけなんだけどいる?」
差し出されたケーキは半分以上残っており、僕の口にねじ込んだ分と美雪先生の小さい数口しか減っておらず、ラウは大歓喜して渡されて数秒でペロリと食べ終えた。
「美雪先生とやら感謝するぞ」
餌付けされて機嫌の良いラウは、子供らしく美雪先生に抱きつき体をムニムニと揉みしだき楽しんでいた。
だが急に動きが止まり眉をしかめ、美雪先生のお腹に顔を押し付けて何度も匂いを嗅ぎ始める。
「変な匂いがする」
ラウの一言は美雪先生を赤く染めあげ、かわいい顔を見れると思われたが意外にそんな事はなく、慣れた感じで戸惑いすらせず受け入れていた。
「ごめんね。少し汗かいちゃったかも」
「いやそんな感じじゃないぞ。この匂い何処かで・・・」
ラウは顔を埋めて匂いを嗅ぎ、離れて首を傾げてまた嗅ぐと何度も繰り返し思い出そうとしていた。
「何処かで嗅いだことがある気がするんだよね」
僕は嗅ぎたくてうずうずするが、近くで嗅ぐと恥ずかしがられるだろうと思い、その場で気付かれないようにこっそり嗅いでみたが、さすがに変な匂いは分からなかった。
「そんな所で嗅いでも分かるか!ちゃん嗅げ」
集中していると思っていたのだが、ラウに匂いを嗅いだ事がバレておりちゃんと嗅げと言われてしまった。
変態と罵られたくないので遠慮したのだが、何故か美雪先生ではなくラウが主導権を握っており、僕の頭を後ろから押して勢いのままにダイブする。
美雪先生を知っている男なら誰でも喜ぶだろう状況に巡り会い、辞めろと言いつつ内心ラウに感謝を告げて、引き締まっているが柔らかさのあるお腹を、押されたから仕方なく堪能させてもらった。
僕は幸せの柔らかさを受けつつ、鼻から肺へたっぷりと嗅がせてもらったが、変な匂いはせず甘い良い香りしかしない。
「いつも通りの良い香りだよ?」
「そうなのか?でも何かこう内側にくる匂いはないか?」
ラウからは少ない情報からどうにか説明しようとして聞いてきたので、再度意識してお腹を深呼吸をしてみたが分からなかった。
「あっ!?それちょっと分かるかも!変な匂いって感じじゃないけど、体がキュってする感じある!私その香り嫌いじゃないよ」
夏希は横から感覚的な事で言うのだが、僕からした全く理解出来なかった。ただ本当にいつも通りの甘い香りしかしない。
「相性の問題じゃないのか?結構遺伝子的に父親の体臭が臭く感じるとかたまに聞くぞ」
「んー。そうなのかな?でも何処かで嗅いだ事がある匂いなんだよね」
結果的に見ると僕が幸せになり、美雪先生が恥ずかしい思いをしただけで、何の成果も得られませんでした!
ただラウは納得いかず、気になり続けて美雪先生が帰った後も首を傾げて考え込んでいた。
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