美魔女と恥ずかしいラウ

 唯一何も言っていない夏希を見ると目が据わっていた。

 てか帰れってなんだよ。ここ僕の家だからね。


 「まぁまぁまぁ、直ぐに終わるから」


 何とか子供達を宥めた僕は、胸ポケットをぽんと叩いて最後の話を始める。


 「今話したダンジョン攻略中にもう一人仲間が増えたんだ。出てきてラウ」


 僕が皆にお披露目しようとラウに声をかけ出てくるのを待った。だがラウは反応を示さず出る様子がないのでポケットを覗くと、座り込んでぐっすり眠っていた。


 「ラウ起きて!皆が待ってるよ」


 ラウを胸ポケットの上から揺すり、起こすと口を隠して大きな欠伸あくびをする。

 グッと腰を伸ばし、胸ポケットのふちから手をかけて上り、顔を出して手を振ってラウは自己紹介をした。


 「アルラウネのラウだよー!よろしくー!」


 ラウはいつもの誘うようななまめかしい声から、サイズ通りの元気で活発そうな声に変えていた。


 「どうしたんだよその声」

 「最初からあの魔力の乗った大人の声じゃ印象悪いでしょ」


 ラウの言う事はその通りなのだが、深く背景のありそうな耳に残る声に慣れていのでギャルっぽい話し方が少し混ざった、子供らしい若い声は違和感しか無い。

 しれっと魔力を乗せてたって言ってない?どの姿でも可愛いかったり美人で、目の保養にしていたのはアルラウネの特性を使って誘惑されてたのね。

 だからふと襲いそうなるのか。


 「魔力乗せるなよ」

 「えー。女の子なんだから綺麗に見えたいじゃん!」


 今ならラウがどんな子でも、住むことを許してくれそうだが、危害を与えるモンスターはさすがに断られるので、小さい声でコソコソと納得してくれるように落とし所を出し説得する。


 「まぁ分かるけどダメです。元が良いんだから何もしなくて良いの。魔力はやりすぎ。お母さんに教えてもらって化粧までにしなさい」


 やはりラウは女の子なので化粧を出してやると、顔を赤くして喜び胸ポケットに引っ込んで我慢してくれた。


 「そりゃ、私アルラウネ、だからね。綺麗なのは当たり前よ。だけど、まぁありがとう。魔力使わない」

 「我慢してくれてありがとう」

 「うん。・・・この女たらし」

 「ん?」

 「なんでもない」


 よく分からないが我慢してくれて助かったが、今度は顔を出してくれと言っても今は無理と断られてしまう。

 これから暮らすのに顔見せないでどうするんだよと呆れたが、ここは一応形式上だがご主人様の僕が何とかしよう。


 「あれ?ラウちゃんどうしたの?」


 リンの時も反応した通り可愛い子好きのお母さんは、顔を見せて欲しそうにしていたので近寄って胸ポケットを広げると、ラウはチラッ僕を見てうつむいてしまった。

 

 「この子元気そうに話したけど、本当はそんなキャラじゃないんだよ。緊張しながら頑張ったけど恥ずかしのだと思う。今はそっとしてあげて」

 

 しっかりと見直せなかったお母さんは、残念そうにして椅子の背もたれに体を任せ口をすぼめる。


 「この子も一緒に暮らしたらダメかな?悪い子ではないんだけど・・・」


 五歳姿を有効活用し、お父さんへテレビ的なおねだりする子供を演じると、横からお母さんも元気におねだりの真似をしてくる。


 「お父さんラウちゃんも良いでしょー。リンちゃんと離れ離れも可哀想だしお願い!」


 年齢的に少しキツく、おねだりが許されるのはギリ高校生くらいだと思うのだが躊躇ためらい無くやり遂げるお母さんには恐れ入った。

 だがそれはお母さんの情報を知ってるからであって、他人から見たら全く違って見える。

 天然な所も合わさって、街で出会ったら絶対に金目当てでおじさんと一緒にいるお姉さんと勘違いするだろう。

 それだけお母さんは若い。

 歳を重ねる事に若くなっている気がする。絶対に去年より若い。

 恐怖だ。お父さんを扱うスキルも合わせて美魔女と呼ぼう。


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 コロ助での休載の為にしばらく注目作品にも乗らなく辛い状況です。

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