一緒に暮らさせてください

 全ての切り分けたケーキを盛り付け、皿の端にはケーキ屋さんで買ったクリームを絞りグレードアップさせ机に並べる。

 人数が多いので大人はダイニング、子供と美雪先生はリビングに別れて食べる事になった。


 「そっちのケーキ多くない?」


 確かにリビングには、美雪先生と子供達四人にフェストを加えて六皿で充分なはずだが、机の上には八つのケーキが並んでいた。


 「これで合ってるよ」


 なかなか話し出せなかった空白の二週間。

 その間の出来事を全員に聞いてもらえるタイミングを見つけ、同時に新しい家族を紹介しようと考えていた。

 ちょうど良いアシストがダイニングから飛んできたので今言わせてもらおう。


 収納魔法から剣を取り出して地面に置くと淡く光り始めた。光は大きく変化し人型となり、金色で長い髪のすらっとした美少女モデルのリンを誕生させる。

 

 「ハルト待ち時間長かった」

 「ごめんごめん後で撫でてやるから」

 「お風呂入ろ」

 「はいはい。リンは本当にお風呂好きだなを」

 

 ここだけ聞けば僕×リンのおねしょたで全く健全じゃないが、実際にリンはドラゴンなので完全セーフだ。

 正直な所人型に変身したリンとお風呂に入ると襲ってしまいそうなので、狭いからと言い訳して子ドラゴンになってもらおうと考えている。


 出るところは出て、すらっとした白い体は目に毒すぎる。もし僕が成長して許可がおりたら・・・無いな。リンは誇り高いホーリードラゴン様だからね。

 リンの体で欲情したと知られたら嫌われるかもしれない。絶対に隠さねば。

 少しだけ下世話な事を考えていると、リンは僕に説明しろと念を込めて睨んできたので、全体に聞こえるように紹介するが特に両親に向けて紹介をする。


 「皆ダンジョンの動画で知ってると思うけど、この子はゴブリンと戦ってくれたホーリードラゴンのリン。これからはこの家で一緒に暮らす事にしたの」


 リンの背中に手を置いた僕は、住むことを前提に軽くだけ紹介した。

 リンは僕に紹介されると、これからお世話になる両親に頭を深く下げる。

 

 「初めましてリンです。不束者ですがよろしくお願いします」


 両親に何も教えていないので、もちろん反対の声が飛んでくる。


 「そんなの聞いてないぞ。それにどこから見でも美人な女の子だろう。お父さんは反対だ」


 昭和のような腕を組んで反対する姿は、結婚を反対する娘の父親そのものだ。

 てか美人な女の子は要らなくない?


 「お父さん、美人は余計でしょ。若い女ばかり見て、私の事はどうでも良い訳?」


 ほら怒られた。

 喧嘩するよりはマシなのだが、両親はいつまで経っても仲良しで、休日僕達を置いて二人でデートに行くくらい仲が良く、見ている側が胸焼けしてしまう。

 そんな仲良い二人だからこそ、余計な事を言うと嫉妬してへそを曲げる事が多々ある。

 

 「そんな事ある訳無いじゃないか!いつだって母さんを愛してぞ」

 「お父さん、疑ってごめんなさい。私も愛してわ」


 だと思った。

 いつも通りすぎて何も思わなかったよ。どうせ嫉妬して仲直りしてイチャイチャするのがワンセットなんだから。


 大人数の前で気にせず、イチャイチャする両親を恥ずかしく思いながら呆気にとられているリンに声をかけた。


 「これいつもの事だから慣れて」

 「あっうん」


 リビングからは二人の羨ましいとの声が聞こえるが何が良いのか全く分からない。

 毎回見せられる側になってみろ。


 「あのー、私は一応モンスターなので食べ物も食べないですし、大きさもフェストと同じくらいで場所を取りません。ですのでどうか暮らさせてください。お願いします」


 リンは二人の世界から帰って来ない両親に声をかけて呼び戻し、二人の目を見てお願いする。そして子ドラゴンサイズに戻って、僕の腕の上で体を伏せ頭を下げた。


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 コロ助での休載の為にしばらく注目作品にも乗らない状況です。

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