美雪先生との過去と共通点
「ただいまー」
「「「おかえりー」」」
なんかやたらと人が多いな。パーティでもしてるのかと思う程だ。
線崎家五人に美雪先生と夏希。更にオセロさんと頭の上のフェストで九人もいる。
そこそこ家が広いから良いものの、マンション時代なら足の踏み場が無いぞ。
それに夏希はソファーに寝転がって美雪先生に膝枕させてるし、リアムはお母さんにお菓子のおねだりして一人で食べてる。皆自由すぎるだろ。
「お母さん、最近いつもこんな感じなの?」
お母さんをに質問すると、楽しそうに充実した顔でせっせとお菓子とお茶を準備しながら答えてくれた。
「そうね。美雪先生と夏希ちゃんはハルトが元気だって分かったらリラックスしてくれたのよ。それで落ち着いたら、お手伝いする事あるか聞いて後ろを着いて来るから、
お母さんは満面の笑みで、お兄ちゃんと僕ではしない長語りをする程に擬似娘を楽しんでいた。
勝手に娘にするのはダメだろとツッコミを入れそうだったが、娘欲が爆発しているのにちゃちゃを入れるは良くないと踏み
娘を着せ替え人形にしたり、昔のアクセサリーとかつけさせて女子トークしたかったんだろうな。男二人ですまぬ。
「美雪先生が大変だったって何?」
お母さんは僕の気になった言葉について問うと、笑顔が少しだけ暗くなった。
「何かね、美雪先生記憶喪失らしくて両親も見つからず一人の所を園長先生に助けられたんだって。その後は直ぐ短大入学して幼稚園の先生になったらしいの。ハルトだから言ったけど、気持ちの良い話じゃないから他の人教えないでね」
「・・・そんな事があったんだ。分かってるよ」
美雪先生は一度も僕達に辛そうな顔を見せず、下りだけのジェットコースターのような人生を歩んでいた事を聞き頭の端へそっと仕舞った。
今は両親が居るが、前世の僕と同じ親の愛情貰えなかった、大きくなる為に必要のない共通点を知り、手に取るように分かる苦しみを少しでも減らしてあげたいと思うのは傲慢だろうか。
今の笑顔が素直に信じれず、苦しさの上に塗り付けられたように見えてしまう。
僕がやる事は美雪先生の為になるのか確信を持てない。もしかすると余計に嫌な思いをさせるかもしれないが、一人の寂しさを愛情で埋めてくれる存在が必要なのは理解している。
だから自分のぽっかりと空いた穴を塞いでくれたように、僕達家族で塞いであげる事にした。
やらない善よりやる偽善とはよく言ったものだ。嫌われても良い。美雪先生が少しでも報われるなら。
「お母さんこれからも呼んでいい?」
もう先に愛情を注いでいるお母さんからしたら愚問かもしれないが真剣に聞いてみると、ふにゃっと笑いお父さんとは違う繊細で壊れ物を扱うように優しく僕の頭に触れた。
「当たり前じゃない。私達の娘なんだから」
「ありがとう」
よしじゃあ毎日美雪先生をお持ち帰りしようかな。夏希には目覚めたばかりのお母さんとの時間を大丈夫して欲しいから、たまにお願いするくらいなら良いよね。
「ちなみにリアムは?」
「リアム君は最初にお見舞いへ来た時から変わらないわよ。ハルトなら大丈夫だってお菓子の要求するから、この子大丈夫かと思ったけど一番信頼してたから言えたのかもね。あんな良い友達を無くしてはだめよ」
「もちろん。バカでお調子者だけど僕の親友だからね」
まぁ美雪先生との時間を邪魔されない為に、これ以上家に入れてやらないけどな。
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