メインメンバー勢揃い

 「そんなの一回見たら覚えるよ」


 僕は偽マジックバックから空のペットボトルを取り出し、前方に空高く投げ飛ばす。綺麗な放物線を描くペットボトルは百メートル近く宙を舞い、地面に子気味良い音を響かせて跳ね上がった。


 お父さんは何をしてるんだと怒り口調だったが、ペットボトルの進路を見てぐに黙る結果となる。

 ペットボトルは少し前に、お父さんが投げ入れた自動販売機の横設置されているゴミ箱に向い、小さい穴へ跳ねた勢いで回転が小さくなり音をかき鳴らさずすっぽりと吸い込まれていった。


 「ほらね」


 僕はお父さんの真似をして全力のドヤ顔を見せつけると、大きな笑い声が鼓膜を震わせ肩を抱き寄せられる。


 「さすが俺の息子だ!線崎家の子供はこうじゃないとな」


 お父さんは雑な抱き方から開放すると、僕の脇へ手を入れられこそばゆさを覚える。少し我慢すると、グッと両脇が固定され足が地面から離れ宙ぶらりんになる。


 一気に持ち上げられると視界が大きく変わり、見慣れた街が見下ろすことで全く違うように見え新鮮さを感じる。そしてお父さんの肩に座り初めての肩車を体験してふくはぎから気持ちの良い熱が伝わってきた。

 

 「綺麗だ」

 「ちょっと重たくなったんじゃないか?」

 「そりゃ育ち盛りだからね。数年したら身長追い越しちゃうよ」

 「それは楽しみだ。お父さんは平均身長だからな。ハルトはかっこ良いからもっと伸びてくれよ」

 「お父さん、僕を産んでくれてありがとう」

 「元気にデカくなれよ」

 「もちろん。まぁ産んだのはお母さんだけどね」


 僕達は何も面白くないが何となく心の動くままに笑い、ほんの少しだけ本当にスポイト一滴くらいだけ目が潤ってしまった。

 ふと親の愛を感じると泣きそうになるのは、恥ずかしいから何とかしないと。


 苦痛は簡単に慣れて耐性が出来るのに、愛情はどうして耐性が出来ないのだろう。

 僕は服の袖で目を強めに擦り、お父さんの頭を左手で抱きつき右腕を真っ直ぐに前に出した。


 「皆が待ってるし早く帰ろう!」

 「そうだな。そろそろハルトにもう一人友達が来るからな」

 「だからそういうの早く言えよ!」


 馬車のように激しく揺れる車にげきを飛ばし、頭を数回叩いて加速の命令を出すと、嬉しそうに笑ってしっかり捕まれよ命令をして超加速する。


 「馬さんお疲れ様」

 「誰が馬だ」


 数分腕の力だけで揺れに耐えると家に少し息切れしたお父さんと到着した。

 玄関前には小さな人影があり、リアムがインターホンを押す背中が見える。僕か名前を呼び目が合うと安堵あんどした顔で声をかけられた。


 「元気そうだな」

 「おう!めっちゃ元気だよ」


 

 

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