五歳早めの春が来る?

 「そんな事言うなよ!息子に早めの春が来たんだ。父親として喜ばずにどうするんだよ!頭良いから手が早いだろうと思っていたけど、まさか五歳で捕まえるなんてな。夏希ちゃんも歳のわりに賢くて良い子だしあれは将来美人になる、お父さんはおすすめだ。やっぱり彼女と学園ライフは定番だよな。学校に毎日行きたくて仕方なくなるぞ。羨ましいな。変わって欲しいくらいだ」

 「長いし、夏希とはそうゆうのじゃないから!」

 「怪しいなー」

 

 お父さんは今日一番の笑顔で体をつんつんと突いてくるので軽く払うと、無傷なのに手で覆って痛そうに指を労わっていた。


 「そういう事か!本命は美雪先生なんだな。歳は離れてるが大人になったら関係ないし、成長して歳の差を乗り越えられたら、固い絆が出来て気兼ねなく老後を迎えれそうだ。その分社会的に大変だろうけど、あれだけハルトを思ってるならお父さん応援するぞ。愛してると言えば今から一緒に暮らす許可も与えてやる」


 ありえない所までお父さんの妄想が膨らんだので、フェストを連れて公園に置いて帰るという強制終了を実行し滑らかな口を封鎖した。

 待ってくれと声が聞こえるが無視だ。


 「なんか言えよ!許してやったんだからそう怒るな」

 「それとこれとは別です!」

 「冷たすぎだろ。まぁ冗談は置いといて」


 また何かお父さんは話し始めたが、まともな事じゃなければ家まで完全に無視しようかな。


 「ん?」

 「美雪先生に、っておい!ちょっと待ってくれ。お父さん誘拐犯みたいだろ。美雪先生の事だけど真面目な話しだから」


 また美雪先生の名前を出して揶揄からかうつもりだと思い、無視をして早歩きをするとお父さんは走って僕の肩を捕まえ無理やり歩みを止めて訴えかけてきた。


 「くだらない事なら警察に誘拐されそうになったって言うからね」

 「本当にちゃんとした話だから辞めてくれ」 

 「それで何?」

 「ハルトは美雪先生に何をしたんだ?」


 以外にニヤニヤとした顔から真面目ではないがまともな顔になり、真剣そうな内容だったので仕方なく話を聞いてやる事にした。ただふざけたらその瞬間また無視だ。

 恋愛話に飢えた猿め。長い間彼女のいなかった悲しいおっさんの話でもしてやろうか。


 「何をしたんだとは?」

 「夏希ちゃんにこの前ハルトに命を助けられたって聞いたんだよ。あの時は大変だった。自分の子供でもない子が家で泣き出して、泣き止まそうとしても余計な事を言わないか心配でな。母さんとお兄ちゃんに美雪先生と四人でてんやわんやよ。結局お兄ちゃんが、ハルトを治すには夏希ちゃんの回復魔法が必要かもしれないから力を貸してくれって言って、何とか泣き止ませた。でも今度は声をかけながらフラフラになるまで魔法を使って、これはこれで大変だったよ」



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