残念な父親

 「なんでそう思ったの?」

 「そんなのハルトを見ていたら分かるよ」


 お父さんはブランコを漕いで、声を詰まらせたり強弱させていたのを止めて答えてくれた。


 「ハルトが勝手に一人で旅行に行くなんてありえないだろ。ダンジョンの稼ぎがあるから旅行に行こうって説得するのはあるかもしれないけど、少し抜けてるが強行突破するまでバカじゃない。だから何かを隠してるんだって分かったんだよ。家族で一番賢いのがあの言い訳は無理があるぞ」


 僕の事を見通しており、やはりお父さんは凄いなと思わせられた。

 ただその完璧推理の少し抜けている部分が、毎日移動とダンジョン攻略した後に家へ帰ってくれば良いという、やらかしの大半を占めているのは言わないでおこう。


 だってめっちゃドヤ顔をしてるもん。

 最初精神的ダメージを受けてコピー作らをミスしたけど、本当は家に帰れたのに旅行が楽しかったから帰らなかったなんて言ったら、恥ずかしくて顔を上げられなくなり父親としての心に強烈な一撃がを与えちゃうよね。

 確かに隠し事はしているし、家族旅行の提案する時間なんて無かった。

 けどその後はバカの考え知らずです。

 お父さんは僕を信じたからこう言ったんだよね。

 ありがとうお父さん。

 墓までそのかっこ良い姿は持っていくから安心してドヤ顔をして大丈夫だよ。


 「何ニヤニヤしてるんだ?」

 「何でもないよ。お父さんみたいなかっこ良い父親になりたいなって」


 僕は勘違いお父さんを少し弄ってやると、そうだろうそうだろうと嬉しそうにブランコを漕ぎ直したので、笑い声が出そうになるのを一生懸命我慢するのがとても大変だった。

 そんな状態の僕の気を知らず、お父さんは青春を送る学生のかのように華麗にブランコから飛び降り、友達みたいに迫ってくる。


 「なぁハルトはどっちが好きなんだ?」

 「え?」

 「え?じゃないぞ!美雪先生か夏希ちゃんだよ!二人とも毎日幼稚園後にお見舞いしに来てたんだぞ。しかもまともな反応の無いハルトに話しかけ続けて、震えた声でありがとうって何度も何度も。ダンジョンで夏希ちゃんを助けたのは聞いたが、美雪先生もお得意の戦闘能力で落としたのか?こんな歳で女の子をたぶらかすのはお父さんは良くないと思うぞ」


 イキイキと口早く息子のゴシップを楽しむお父さんは父親として威厳は全くなく、どこにでもいる同級生にウザ絡みして遠目から見ている女子に微妙に嫌われるた残念な子供そのものだった。


 「たぶらかしてないし好きとかじゃないから!お父さん本当にウザイ!」

 

 

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