ハイスペックファザー

 きっとこれは皆の前で怒ると怖がらせてしまうから、僕を外に出し配慮したんだ。

 あーこれ死んだわ。永遠にトラウマとして記憶に残る奴だ。今すぐ帰りたい。もう一週間くらいダンジョンに行こうかな。


 元気に散歩するフェストとは対極に、僕は恐怖でストレスが溜まり偽マジックバックから角砂糖を取り出して食べ始める。

 口が粉まみれになり、唾液が乾燥させた口を少し潤した所へ半分くらい残った北海道のガラナジュースを流し込む。

 二人とも喋らないので、本当に散歩しているのかと疑わしい程に重たい空気を感じる。


 怒られる前に先手としてまた謝るべきか、黙って散歩するのが正解かそれとも他の選択肢か悩み、少しキリキリとするお腹が楽しそうなフェストを見ると和らいでいく気がする。


 「ハルト北海道は楽しかったか?」

 「お父様申し訳ありませんでした」


 お父さんの視線が手に持つガラナジュースに注がれていたので、飲み物が欲しいのだと解釈し両手で渡し同時に謝った。


 「ハルトはたまに変な言葉を使うな。お母さんに散々怒られてたしもう怒らから普通にして良いぞ。ジュースはありがとう」


 本当にサラリーマンなのかと疑わしい、ゴツゴツとした大きな手で男らしくガサツに頭を撫でられた。


 「お父さん」

 「ん?どうした?」

 「怒る為に散歩しに来たと思ってたんだけど違うならどうして?」


 お父さんは僕から渡された残り少ないジュースをあおり、空になったペットボトルを自動販売機の横にある小さい穴のゴミ箱に投げた。

 ペットボトルは吸い込まれるように飛び、回転しほぼ同じサイズの穴に頭がすっぽりと入る。足側は回転してる為に穴に当たり、ガタガタと音を立ててゴミ箱の中に落ちていった。


 「え、凄すぎ」

 「まあな。慣れたら誰でも出来る」


 カッコつけて少しドヤ顔をするお父さんは、散歩している道の少し奥にある、初めてフェストと合った公園に誘い二人でブランコに座った。

 そしてお父さんは深く息を吸って散歩の理由を教えてくれた。


 「ハルトさっきの旅行に行ってたって本当の理由じゃないだろ。何か話せない事でもあるのか?」


 僕はお母さんと美雪先生にはダンジョン攻略した話はするが、モンスターパレードについて伝えるつもりが無かった。

 お父さんにはいつか話しても良いかなと思うが、戦いに関係ないレディースには刺激の強い話だ。お父さんにもバレなければ、多分話す事は無かっただろう。

 さすがお父さんだ。それとも父親として感じるものがあるのだろうか。


 

 

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