道化
そんな目と、貼り詰められた空間に当てられてしまえば、一般人のオセロさんが平常通りで居れるはずない。
案の
「オセロさん、僕からちゃんと説明するから大丈夫」
「ハルト、すまない」
お父さんに嘘を突き通すのは出来ないと分かったのか直ぐに謝罪し、オセロさんは悔しそうに拳が白くなるほど握り任せてくれた。
僕は溢れる唾液を喉へ流し込んで気合を入れ、目と目を合わせて状況と全く合っていないふざけた道化を演じる。
「実は・・・全国の美味しい食べ物を食べたくて旅行してました。てへっ」
僕は舌をペロリと出し、某老舗食品メーカーの特徴的なマスコットキャラクターの真似をして軽く頭を叩いた。
するとお父さんは呆れたかのように大きな溜息をこぼして笑い、いつもの怖くなく優しい目に戻った事により張り詰めた空間が解けた。
「手段を選ばない所はお前らしいな」
お父さんの笑顔が見れてオセロさんと美雪先生はほっとした表情になり、僕と同じように強ばった体に暖かい血が流れていくの実感しただろう。
この人は一体何者なんだ?普通の人間じゃないだろう。
「オセロさん。ハルトが迷惑をかけてすまなかった」
お父さんは椅子から立ち上がりオセロさんに向けて頭を下げた。
オセロさんは恐れるものが無くなり、通常状態の仕事の出来るかっこい良い大人に復活した。
そして舌を噛んでしまいそうな、上に立つ人として模範解答な謝罪をする。
「いえいえ、ハルト君は良い子で迷惑かける事なく、ダンジョン協会として喜ばしい限りで。本当は事前に許可を頂かなければならない所を事後報告になり、心配をかけてしまい申し訳ありませんでした」
二週間一緒に生活し素のオセロさんを知っている僕からしたら、堅苦しい話し方や君付けで名前を呼ばれるのは違和感しかない。
今回はダンジョン協会として謝罪をしに来ているので仕方ないが、いつかは友人として笑って遊びに訪ねてほしい。
四十五歳差だけど前世合わせたら丁度良いし、お父さんも含めた三人で仲良く出来たら良いな。
二人の謝罪が合戦が数分続き、やっと終わったと思うと今度は僕について語り合い、オセロさんの素が出るくらいまで家族に溶け込みついにはお母さんとまで話し始めた。
それを見たお父さんは僕に声をかけてきた。
「ハルト少し散歩に行かないか」
僕はまた怒られるのかと思い、ビクつきつつフェストを連れて三人で家を出て歩き出す。
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