何者

 いや、断じてロリコンになっていない。

 ほんの一瞬だけ恋愛経験値ゼロの為、性癖が歪んでしまったのかと自分を疑ったが、過去をさかのぼってみても同学年に対して欲情せず何も思わないし、会話が通じないので鬱陶うっとうしいと感じる。

 大人として子供の面倒を見るのは好きだが、友達として恋愛対象としては無理だ。

 実際に友人と思えるのは大人びた夏希やリアムに、相手からしたら違うと言われるだろうが先生達くらい。

 そのせいで幼稚園では職員室に引きこもっているのだ。

 もし自分がロリコンならば、積極的に欲望のまま行動するだろう。


 良し!これで僕はロリコンじゃないと証明された。

 まず付き合うなら美雪先生のような、カワイイ系の女性が良い。

 あれ?美雪先生の見た目から判断するに二十代前半。前世と今の年齢を足すと約二回り年下になるな。

 はい。僕のロリコン説は迷う事なく可決されました。


 体に精神が引っ張られてるって考えれば大丈夫だよね。

 実験で夏希の顔を見つめても、絶対付き合うとは思えない。

 だから恋愛対象は二十歳を超えでセーフなロリコン。意味は違うが合法ロリだ。

 

 「ハルト今失礼な事考えなかった?」

 「何も考えてないよ。大丈夫だから安心して」

 「うん?分かった?」


 夏希には薄い目で見られていたが、さすがに君の体は安全なままだと言葉には出さず肩に手を置き、安心してもらえるように暖かい目で見守った。


 「どんな感情で見てるのよ」

 「父親のような?」

 「私には父親いるから。じゃあ他の家族としてなら・・・はぅわ」


 いまいち良く分からんが、夏希は顔を赤く染めて自滅しており現実に戻るまでしばらく放置しておいた。その間の美雪先生はゴミを見るかのような熱の全く篭ってない目で見下していた。

 しっかりして美雪先生!絶対子供に向ける目じゃないよ!


 状態異常のガールズを横目で椅子に戻ると、お父さんが一番の本題を切り出した。

 その状況を確認した家族は笑みが消え、線崎家にピリッとヒリついた空気が流れる。


 「友達との再開も済んだようだし、どうして居なくなったか説明してもらおうか」


 オセロさんは、家族内の異様な張り詰めた空間に躊躇ためらいつつ、僕の代わりにお父さんに向かって口を動かし始めた。


 「はっ、ハルト君のお父さん。ハルト君、は冒険達の為に」


 お父さんの目は鋭く何かを極め強い意志を持つ人間にしか出せない、引き込まれそうな深さがある。

 たまにしか見せないこの目は、一度殺伐とした世界の人生を終えた僕でさえ躊躇ためらってしまう程だ。

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