ただいまお母さん
「久しぶりの家だー!」
僕は日本にある全ダンジョンを攻略し久しぶりに家へ帰ってきた。
短かったような長かったようなそんな二週間だった。
前世のように日常的に戦う事で
これ以上の瞬間対応能力を上げるには、筋肉を育てて初速を上げるか全く伸びないレベルに頼るしかない所までだ。
ダンジョンに数時間潜り、残りの空き時間は旅行をして充実した日々だった。
旅行の時間の方が長かったがずっと遊んでいた訳ではない。
確かにご当地グルメを食べ観光スポットを巡っていたが、戦いばかりで更にただ攻略するのではなく動画用で解説しながだとかなり時間がかかり、五時間を越え無駄な疲れて頭がおかしくなりそうなので自己メンテナンスの為だ。
考えて欲しい。
五時間死と隣り合わせで意識し続けるのだ。
やろうと思えば出来るがそんな事ストレスでしかない。
前世でも毎日ダンジョンに行くのは推奨されていない。
二日潜って一日休む。長くても三日、緊急事態の場合でも四日で休めとされている。
それに比べ一日攻略して一日休みの日々を繰り返す冒険者や、二日や三日休みの冒険者もいる。
だがその冒険者達は本当に一日中休んでいるのではなく、休んだ後ミーティングや装備品の整備に鍛錬とダンジョン外で出来る事をしているのだ。
休日が多い冒険者は憧れの対象になる。
休日の分の稼ぎを一日で一気に取り返す余裕があるとみなされるからだ。
この二週間は初級や中級が複数箇所あるので上下があるが、平均して一日約百万円になり数ヶ月分稼ぎ、頑張りすぎている範囲に入る。
だからずっと遊んでいたがただずっと遊んでいた訳ではなく、装備品は無傷で鍛錬はダンジョンでしているので仕方なく、自己メンテナンスの為に休み旅行していたのだ!
「どうした?入らないのか?」
玄関前に立ち止まり、綺麗なインターホンをなかなか押せず悩んだ顔をする僕を見てオセロさんは声をかけてきた。
「皆に怒られるよね」
「そりゃ怒られるだろな。理由はあれど五歳が無言で全国旅行だからな」
「一応僕のコピー残したから心配はしてないだろうけど、この二週間の事説明したらね」
家族に怒られている様子を頭に浮かべて、一度も経験の無くどんな反応をして良いのか分からず困った僕に、オセロさんは頭をポンポンと触り安心させようとしてくれた。
「ダンジョン協会としてフォローする為に来たんだ。一緒に怒られてやる」
その行動のおかげで決心し息を止めて、緊張し震えそうな指でゆっくりとインターホンを押す。
「逃げないでよ」
「大人としてしっかりと怒られよう」
二人でクスリと笑い合い僕に笑顔が戻ると、映像付きで見えるインターホンだが身長が足りないせいで誰も見えず、いつも通り対応する優しい声が聞こえた。
「どちら様ですか?」
「・・・ただいまお母さん」
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