ラスト北海道!

 ほぼ犯罪者の僕は、自分の心に言い聞かせ精神を安定させた。


 「オセロさん早く旅行行こう!」

 「そうだな。今から楽しむぞ!」


 舎弟とお別れした後、僕はおじさんのオセロさんと元気に北海道旅行をスタートさせた。


 数時間後


 「楽しかったね!」

 「そうだな」


 北海道を満喫した僕達はダンジョンの仮設事務所プレハブに戻り余韻に浸っていた。

 最初に食べた海鮮丼も美味しかったのだが、途中で食べた牡蠣かきも美味しかった。

 クリーミーで塩味が程良く、飲み込んだ後も長く存在感が前に主張していた。


 更に美味しかったのは最後に寄ったご当地ラーメンだ。

 そのラーメンは丁寧に処理がなされていて、スープににごりが全くなく黄金色に輝いている。

 具材もシンプルで、ラーメンという存在をそのままレベルを上げたようなものだった。

 もちろん味も良く最上級だ。

 あっさりとした味付けが冷えた体にスーッと溶けていき、いつの間にか丼を持ち上げスープを飲み干してしまう程だった。


 旅行前半で小樽に行った時に食べた、マヨネーズ型のプリンはなかなか面白しく中身はかなり甘めだったが、ダンジョン攻略や脳を使った時に食べたい一品だった。

 お土産も含めて、色々とご当地の食べ物を買い込んだのでゆっくり食べいこう。

 カニやウニいくらと高級海鮮類も多めに買ってもらったので、家に帰ったらパーティーしたいな。

 カニ鍋やってみよ!


 何だい?読者さん達よ。

 食べ物ばかりじゃないかって?

 そりゃそうだよ。だって僕だもん。今更だよ!

 仕方ないねー!小樽の感想教えてあげる!

 小樽は、街全体が東京じゃ見れないようなレトロな雰囲気を大切にされており、夜や雪が降っていたら絶景だったのだろうなと感じた。

 あと凍結防止剤がそこら中にあったのは驚いたな。

 

 「オセロさんお腹減ったよ」

 「さっきの食べたばかりじゃないか。何なら今食べてるし」

 「え?本当だ!?」


 余韻に浸り終えた僕は、出発前に綺麗にした机に体を任せグダーとダラけて右手にはかじられた跡のある食べ損ねたバターサンドを持っていた。

 無意識に食べていたなんて!?

 この世界に犯され、昔に比べてここまで自堕落な生き方をしていたなんて。

 前世の知り合いに見られたらどんな顔されるか。

 まぁ今は子供のだし良っかー。


 このバターサンド美味しいな。

 ビスケットはレーズンのエキスの入った液体を染み込ませてある為しっとり柔らかく、ホワイトチョコレートのクリームマッチしており、中に入ったレーズンがほんのりとした優しい酸っぱさが相性良くかった。

 他の種類のバターサンドも食べてみたい。

 次はサクサクのサブレ系が良いな。


 バターサンドの世界に浸っていると、おじさんのスマホに着信が入った。

 おじさんは楽しそうに会話をした後、僕が待ち望んでいた報告をする。


 「ケーキが完成したってよ」

 「やったー!早く行こう!」


 僕は椅子に座るオセロさんの腕を掴んで振り回し、駄々っ子の真似をして軽く急かすと直ぐに立ち上がり逆に急かし返してきた。


 「早く行くぞ。早くしないと次のダンジョン近くのホテルに間に合わなくなる」

 「それ先に言えよ!」

 

 僕は残っているバターサンドを口に詰め込んでお茶を飲み干した。

 そしておじさんに頭を下げ真面目な態度で感謝の言葉を伝える。


 「おじさん今日はありがとうね」

 「こちらこそ冒険者達の為にありがとう。また来いよ」

 「うん!また来る!」


 おじさんとお別れをして職員さん全体にも挨拶をした。

 ほとんど関わっていないのだが、何故か数人泣きそうな人もいた。

 その中でもフリーズお姉さんは、大泣きして絶対離さないと言って抱き着き、実際になかなか離してくれなかった。

 また来るからと宥めて何とか解放してもらい、やっとの思いで僕達は仮設事務所プレハブから出る事が出来た。


 「急ぐぞ。タクシーも待たせてあるからな」

 「かしこまりました!」


 僕はビシッと敬礼し走ってタクシーに乗り込み、途中ケーキ屋さんに寄って次のダンジョンの旅に向かった。

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