爆速ダンジョン攻略

 ダンジョンに入り三十分後


 「おじさん!終わったよ!」

 「「早すぎだろ!」」


 僕は全身にダンジョン内の雪を付け、幼い見た目通りの元気百パーセントで仮設事務所プレハブに勢い良く戻った。

 そして現物化したステータスカードの備考欄に記入されている、北海道ダンジョン攻略済みの文字を見せ約束の品をおじさんにせがむ。


 「ケーキ!ケーキ!ケーキ!ケーキ!」

 「・・・マジか」

 「ケーキ!ケーキ!ケーキ!ケーキ!」

 「・・・分かった!分かってるから!ちゃんと買うから黙れ!買うけど三十分じゃスポンジすら出来てないから後でだ!」

 「ケー、キ」

 「ケーキだけで話すな」


 テンション上がりすぎて、頭の中にはケーキの事しか考えられなくなっていた。

 そしておじさんに怒られるまで気付かず、会話を全てケーキでしていただと!?

 それも仕方ないだろう。

 三十分も時間が経ち、糖分が抜けて今すぐケーキを食べろと体が欲しているのだから。

 やばい。今すぐ糖分を、誰が糖分をくれ!


 僕は偽マジックバックから、ストックしてある角砂糖を手に取りポリポリと糖分補給を始める。

 それを見た職員さん一同に軽く引かれてしまった。その中の数人が、吐きそうになっていたがそんなにおかしい事かな?


 「とりあえずお疲れ様ハルト君。ちゃんとケーキはプレゼントするから待っててくれ。疑う訳じゃないんだが決まりでね、攻略中の動画データ見せてもらって良いかな?」

 

 全ての攻略に当たって、戦闘の安全性が高いかも高難易度の上級ダンジョン攻略の許可に関係してくる。

 ダンジョン協会からは許可が出ているが、実際にはダンジョンの許可はダンジョン事にその場で出される。

 その為攻略中の動画を見てもらい安全を確認し尚且なおかつ、好印象を各ダンジョンの許可を担当する人に持たせないといけないのだ。すごくめんどくさい。


 僕はおじさんに言われた通り攻略中の動画データを渡すと、職員全員で確認する事となった。

 大きなモニターでは、五歳の子供が走りながら魔法を何回も放ちモンスターを無双する姿が映し出されている。


 一階層に居る雪だるま型のモンスター、火の魔法で一発。

 数層登りイエティ型モンスターに火の魔法で一発。

 更に数層登り、北海道なのに何故かナマハゲ型モンスターが居て火の魔法で一発。

 階層が多くないダンジョンなので、中間に階層ボスなど居らずそのまま最上階の階層ボスの部屋に入り雪女に対面する。

 とても美人であり、倒すのは辛かったが心を鬼にして、微妙に耐久力があり火の魔法を数発使って倒した所を最後に動画は終了した。


 一応ここで撮影は切っているが、しっかりと北海道ダンジョンのファーストクリアと最短クリアのギフトを貰った。

 リンには、見慣れた人でないと分からないくらい微妙に雰囲気が暖かそうに変わったと言われた。

 このギフト必要なのか?

 雰囲気が良くなるギフトっ何?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る