ざまぁ3 殺気

 どうしよう!?クソ金髪死にそうなんだけど!?

 僕はとりあえず、死にかけて咳き込み血を吐き出すクソ金髪の体を回復魔法で治した。


 「ごめんね。やりすぎちゃった。痛かった?」


 クソ金髪に謝罪に少しの嫌味を加えてやると、体をプルプルと震わせて目に涙を浮かべていた。

 僕の頬にクソ金髪の吐血がいつの間にか付いており、手の甲で拭ってやると小さい顔に赤黒いラインが引かれる。


 「ヒィィ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。もうしないので許してください。何でもするのでどうにか命だけはお許しください」


 殺気を出していないのに、そこまで五歳の小さい僕が怖いかなと思ったらうちの子達が全員殺意に満ちた顔をしていた。

 特に怖いのはリンで、殺気と憎悪で背景と顔が黒く見え闇に飲み込まれる感覚がして表情が読み取れなくなかった。


 一般に毛が生えた程度のクソ金髪はリンの殺気にもちろん耐えらず、黄色い液体で水溜まりを作り気絶してしまった。


 「リン!やりすぎ!」

 

 このまま殺気を浴びせ続ければ、クソ金髪は社会復帰出来なくなる程のトラウマを植え付けてしまう。

 こっちからしたら別にどうでも良いのだが、周りに迷惑をかけてしまうのは後味が悪い。


 「うちの子達にあんな事するからよ」

 

 殺気を止めて憎悪を払い、元の可愛らしい姿を取り戻したリンは首を横に振って拗ねてしまった。

 ドラゴンやフェンリル等の神獣に属する者は、子供が多く生まれ世代交代するのではなく、長く生き続ける事で世界に存続するので仲間意識がとても強なる。

 囚われた仲間を救う為に、数万の軍隊の元に一匹で飛び込むと伝承される事もある程だ。

 そんな仲間意識の強い神獣のリンの前で、フェストとラウに危害を加えたのだから怒るのは当たり前だ。

 つまりリンママ怒らせるダメ絶対。

 次やったらクソ金髪の命はないだろうな。

 

 とりあえず黄色い液体とき散らされた血は、後で何か言われないように生活魔法で綺麗に片付けておいた。

 放置しても良いのだが、同じ理由でクソ金髪の顔を叩いて短い睡眠から起床させる。


 「起きたか?」

 「すみませんすみません」

 「もういいから。これからは行動を改めるように。そしてお前は何も見ていない。いいな」

 「はいぃぃぃ」


 土下座をして何度も頭を下げるクソ金髪を見て情けなく思い、手を出されない限り何もしないと決めた。

 まさかの殴って忘れさせるのが僕の方だったなんて。野蛮な事は嫌いだ。

 まぁ、モンスター狩り尽くした奴が言う事じゃないか。


 「オセロさん早く行こう」

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