最強の力を持っても最強ではない

 リンは僕の不安混じりの質問を完全に否定した。

 だがそれはそれで、残りの命が短いのと同義である。


 「そうか。・・・前世の能力が残っていたら助けに行きたいんだけどな」


 出来た事が出来ないと歯痒いものがある。

 今まで試した事が無いので分からないが、力を失っていなければ恐らく惑星間の転移くらいなら出来ていただろう。


 僕は大事なタイミングで必要な力を持っていない。

 前世の魔王を倒す時もそうだった。

 もし魔王を消滅させる力さえ持っていれば、あの子を苦しませる事は無かったかもしれない。

 戦闘能力だけ勝っていても、消滅させなければ意味は無い。

 今も前世と同じように転移して、魔王は倒せなくても倒せる力を持つ勇者や神の使いが来るまで封印でもすれば良い。

 だが転移する力がないと実行出来ない。

 本当に大事な事は、必要な力を必要なタイミングで持っているかだ。

 だから僕は、何も力を持っていないのと一緒なのだ。


 「出来ない事を言っても仕方ないわ。忘れなさいと言っても無理だろうけど世界が違うの。出来ない事は出来ない。今はこの世界を助ける事に集中しましょう」

 「そうだね。出来る事からやっていこう」


 ダンジョン前の朝風呂後とは思えない濃密な時間だった。

 時計を見ると未だに一時間も経っておらず、起床時間にすらなっていない。


 おい作者!時間どうなってんねん!

 こっちの方が時間ズレ気になるわ!

 ラノベ一ページ五百時だとして三十ページ以上あるぞ!

 もっと言うと、題名のゆっくり無双しますってなんや!

 ゆっくり出来る話にしてくれ!


 すまんすまんもうちょっと待ってくれ。

 ゆっくりさせてあげるから!

 それに一つダンジョン攻略したら遊んできて良いし、ご当地グルメにホテルとゆっくりできてそうだけど?

 嫌なら作者の権限で、ダンジョン攻略終わったら次のダンジョンまで無理やり転移させようか?


 すみませんでした。

 充分ゆっくりさせてもらっています・・・

 

 仕方ないですね。

 後でヒロインズとのティーパーティーをプレゼントしましょう。


 作者様ありがとうございます。大好き!




 茶番は一度置いておき、話が終わったので北海道ダンジョンの最終確認をする事にした。

 北海道ダンジョンは中級ダンジョンで、全フロア雪で覆われているおりモンスターは雪や北国関係が多くなっている。

 中級ダンジョンという事もあり、殆ど攻略が終了し残り数階層で終わる所まで来ている。

 しっかりと経験を積み、弱点を知ってしまえば一年足らずで攻略出来ると思われる程だ。

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