時間のズレ

 「僕が居なくなってから、そんな事があったのか」


 私は恋する女の子として、知られたくないだろうデリケートな部分を除いて全部話した。

 話しながら昔を思い出して、過去を懐かしみ色んな思い出がよみがえってくる。


 「教えてくれてありがとな。あの時の理由が分かってスッキリしたよ。裏切ったんじゃなくて、二人で助けてきた全てを守ったんだな」

 「そうよ。ハルトも辛かっただろうけど、あの子も死ぬ程辛かったからお互い様よ。だから許してあげて」

 「当たり前だ。逆に信じてやれなかった僕が許して欲しいくらいだ」

 「きっと許してくれるわ」


 僕はずっと怖くて会いたくなかったが、久しぶり可愛い娘の姿を見たいと思えた。

 それだけで会えなくても充分に感じた。


 「その後あの子がどうなったのか分からないよな?」

 「それはさすがに分からないわ。でも私の本体が死んでないから大丈夫なんじゃない?死んでも助けるもの」


 僕はリンが本体が生きてるから、多分生きていると言われて嬉しかった。

 だがその本体が生きてるという言葉を不思議に思った。


 「リンは本体と完全に分離してるのかと思ってたけど一応繋がっていたんだな。でも何で生きてるって言えるんだ?」

 「それはハルトが言ったように、分体と本体との繋がりを感じるからよ」

 「じゃあ時間も同じように進んでるのか?」

 「どういう意味?」


 リンは僕が言ってる事が理解出来ていないらしく、眉間にしわを寄せて考え込んでいた。

 

 「この世界とあっちの世界の時間が同じように進んでるのかって事。今のリンが一時間生きたとして、本体のリンが二時間や三時間と進んでいると仮定する。すると魔王が数年後生まれ変わって襲いに来ると言っていたタイムリミットの最長十年を過ぎてる可能性もあるんだよ」

 「なるほど」

 「もう意味分かんない!もっと分かりやすく言って!」


 リンはちゃんと分かったらしく頷いていたが、ラウは全く分からず癇癪を起こしてしまう。

 フェストはとゆうと、途中で聞くのを辞めて眠そうにウトウトしている。


 「まぁ簡単に言うと時間のズレがないのか聞いたんだよ」

 「簡単に言えるなら最初からそうしなさいよ!」

 「すまんすまん」


 無駄に頭を使わせてしまい、申し訳ないので収納魔法からおやつを取り出して、食べさせてあげた。

 するとかなり美味しいらしく、フードファイターのようなスピードで無くなっていく。

 そんなに美味しいかと思いよく見てみると、そのおやつは一つしか貰っていない未来製の物で、ショックを受けて僕のHPを半分程持っていかれた。

 ガンバレボクキニスルナ。


 「それは絶対にありえないわ。本体との時間のズレは感じないから、違う場所に私達が転移した感じね」

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