進化はよくある

 その女性は髪は金色で、日光が当たり輝いておりとても長く腰まであった。

 そして金眼で容姿はモデルのように美しく整っていた。

 大人と言うほど成長しておらず、子供とも言えない成長途中の短い間しか見せることの出来ない二つを持ち合わせた、デリケートな時期の女性だ。

 そんな女性が座っている僕を上から僕を見下ろしていた。

 どうしよう。

 もしかして覗きで訴えられる奴か!?

 覗くでは無く目の前でガン見しているが。

 こうゆう時は全力で子供のふりをしよう。


 「あれ?ハルト小さくなった?

 「お姉ちゃん誰?」

 「なんの冗談よ。私よ、リンよ!」

 「え?うちのリンは小さいドラゴンだし、その見た目・・・」

 「頭怪我したかな?大丈夫?」


 リンと名乗る女性は僕の頭を確認しようと手を伸ばし、視界に入った自分の手を見て驚いていた。


 「えっ?何!? 手がある!?」


 ぺたぺたと全身を触って調べ、更に水面に反射する自分を見てやっと現状を理解していた。


 「私、人間になってる!?」


 驚く様子を見て頭の中では一致していないが、反応から想像してる二人が同一人物なのだと分かった。


 「本当にリンなのか!?」

 「だからリンよ!」


 子ドラゴンだったはずのリンは、何故か出来なかったはずの人化をしていたのだ。

 そんな変貌を遂げた姿を見て、二年前のアンデットと戦った時にフェストのお母さんが言っていた、進化した時対象が最も適した姿に変わり、大体は人型になると言っていたのを思い出した。


 「とりあえずお湯に浸かれば」

 「そうね」

 

 寒そうなリンには取りえず湯船に浸からせ、色々言いたい事はあるがとても疲れたので湯船に全部流して、考えることを放棄し無を感じた。


 「進化したんだな」

 「そうみたいね。母体の時でも進化してないのに。母体が進化したから分体の私もつられて進化したのかしら?」

 「どうだろうな。あっちのことは分からないし今はどうしようもないな。それより湯に浸かってたらなんでも良くなってきた」

 「そうね」


 「いやいや!進化したのよ!何落ち着いてるの!」


 せっかく静かなって落ち着けたのに、大人しかったラウまでがうるさくなり始めた。


 「モンスターにとって進化は一大イベントよ!あなた普通のモンスターじゃなくて神獣よ!神獣は生まれた時から強いから進化しにくいの!それなのになんで熟年夫婦みたいに落ち着いてるのよ!」

 「いや進化なんてちょこちょこ見るぞ」

 「そうだぞ。ラウ私達が羨ましいからってあまり騒がないの。皆を起きてきちゃうでしょ」

 「なんでそんなに落ち着いてるの!本当に意味分からない!」


 二体一の少数になり抑え込まれるラウは、納得が出来ず勢いよく湯船に潜った。

 そして少ししたら湯船から顔を上げ、僕達と同じ顔をしていた。


 「なんかもうどうでも良くなった」


 しっかりとラウも極楽に毒され思考放棄していたのだ。

 

 「一緒に入る!」


 後ろを振り向くと、フェストは僕達三人のせいで起きてしまったらしく元気に湯船に飛び込んできた。

 結局リンが進化した以外全く変わらない、昨日と同じ状態で露天風呂を楽しんでいた。

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