生まれ変わったら仲良くしよう

 ゴブリンキングの声で、待機していた仲間のゴブリン達が反応しまた流れ出てきた。

 更にただのゴブリンでは無く、全てがゴブリンロードやホブゴブリンマジシャンにファイターと、ゴブリンの上位種だけだった。


 「夏希はゴブリンロードに集中して!お兄ちゃんはフェストとリンと一緒にその他全部お願い!」

 「分かったわ!」

 「扱い荒いよー」

 「本当よ!」

 「アン!」


 お兄ちゃんは通常通りダルそうにしていたが、夏希は楽しそうに二本のショートソードを振り回している。


 フェストもしっぽを振り回し、遊べるとでも思っているのかその場でジャンプしていた。

 そして大きくなっていき、犬の中で一番大きいとされているアイリッシュ・ウルフハウンドを超えるサイズまで成長した。

 あのサイズまで来ると家で飼いたくないなり


 リンも小さい子ドラゴンサイズから、成体にまで成長し物語に出てくる討伐されそうなサイズになって早速ゴブリンを聖魔法でつかえ撃っていた。

 もはや怪獣大戦争ですね。


 「ガキもう準備は出来たか?」


 ゴブリンキングは、わざわざ攻撃せず待ってくれていた。

 テレビのヒーロー物の敵もこんな感じなんだろうか。


 「ガキじゃない!ハルトだ!あとついでに一つだけ良い?」

 「好きにしろ」


 あっ!ちょっと良い奴かもしれない。

 僕は収納魔法から剣を取り出し上空へ振り上げて見せた。


 「夏希!お兄ちゃん!稼ぎ時だよ!終わったら高級焼肉食べ放題だ!」

 「おっしゃーやる気出た!」

 「病院行くの忘れないでよ!臭いでしょ!」

 「最初に行けばいいんじゃないない?」

 「「それだ!!」」


 ここには本当にバカしかおらん!


 「飯の話か。生きて残れると思っているのか?」

 「そりゃそうだよ。僕が負ける可能性はゼロパーセントだ」


 これ良くない?毎回使おうかな。


 「何で攻撃しなかったの?」


 僕は倒してしまう前に、真面目に待っていた気になる理由を一応聞いておいた。


 「そんなんで勝っても嬉しくないだろう。正々堂々ボコして殺すのが一番気持ちいいんだよ」

 「無駄には殺したくないけど、その気持ち分かるよ」

 「そうか。気が合いそうだな」

 「お前が人間を襲わなければな」

 「そうか。では無理そうだな。俺達はメスが居ないからな。人間を孕ますしかないんだよ」

 「じゃあ一生無理だな。次はゴブリン以外で産まれれば仲良くしよう」


 僕は手に持っている剣を仕舞い右拳を前に出し構えた。


 「剣は使わないのか?」

 「そっちこそ無いの?」

 「俺の武器は拳だ」

 「じゃあ僕も剣はいらない」

 「始めるぞ」


 僕達は右拳を出し、拳が触れた瞬間四倍以上サイズの離れた戦いが始まった。

 二人とも攻撃をする前に、大きくバックステップをしえ離れ拳を握りしめ助走を付ける。


 「後悔しても知らねぇぞ!」


 ゴブリンキングのキレのある拳は顔へ飛んでくる。

 その一撃に合わせて、僕は拳を的確に合わせて打ち込み弾き返す。

 どちらも怯むこと無く打ち込み続け、周りには衝撃波を撒き散らし、そこら辺にいるゴブリンは耐える事が出来ず吹き飛ばされていく。


 「お前本当に剣士か?剣捨てた方がいいぞ」

 「生憎あいにく僕は剣と魔法がメインでね。拳は専門外なんだよ、な!」


 僕はゴブリンキングの拳を語尾に合わせ、魔力を集中させて頭の生え際で勢いを付けて打ち返した。

 そしてノックバックした所を目掛け接近し、ボディーへのラッシュを決める。

 そのまま壁際まで押し込み、挟み込む形で止めることなく打ち続け最後にアッパーを入れ上空へ飛んでいった。


 ゴブリンキングは体制を立て直し、ボロボロの体を完全回復させ壁を蹴り、上から降り掛かってくる。


 僕は軽く壁へジャンプし、地面替わりにして踏み込み横を通るゴブリンキングの体へ蹴りを入れた。


 「蹴りありかよ!」

 「武器無しなら蹴りもあるだろ!」


 クレームが飛んできたが、お構い無しに着地した所へもう一度蹴りを入れた。


 「ここにいるの俺以外みんなバケモノだわ」


 英雄は一人、現在の状況に置いてきぼりにされていた。

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