後天的スキルと謎の勇者

 スキルは産まれた時からの決まっている。

 後天的には増えることは例外を除いて無い。


 その例外とは神に属する者から授かった者。

 これは産まれた後、厄災等と戦ってもらう為に神から託され選ばれた勇者だったり、神に属する者からの好かれ受け取ることが出来る。


 次にスキルを増やすスキルを持つ者。

 スキルが作成出来たり奪う、譲渡や貸出が出来るスキルの事だ。

 このスキルは珍しいが居ない訳では無い。

 前世でも記録だけは残っていた。


 そして最後まだ誰も知らない方法がある。

 それは大量の魔力を浴び死を体験する事だ。

 この方法で、スキルを発生させた者は未だに誰も居ないので知る方法が無い。


 一応今世のように、産まれ後魔力がが出来てスキルが貰えなかった場合だけは、ダンジョンに入るだけでスキルを貰える応急処置が施されるが今回は関係無い。


 「まぁ増えててよかったね。良かったね」

 「深く考えず喜ぶ事にするわ」

 「そうしなさい」


 考えても分からない事はスルーの精神で考えない事にした。


 「話を戻すけど聖女のスキルは回復魔法が沢山使えるスキルなんだよ」

 「だから回復専門でヒーラーなんだ。でも私剣を使うよ?」

 「そこなんだよねー」


 回復専門と言いながら、夏希は性格的にゴリゴリにアタッカー向きなんだよなとミスマッチなスキルが僕を悩ませていた。


 「あっ!お兄ちゃんゴブリン近いからそろそろ魔法使ってね」

 「ハイハイ」


 「夏希は剣を使う方が好きそうだよね」

 「うん!体が早く動かせたりとか剣を振るの楽しかった」


 夏希はウンウンと首を縦に振りながら興奮していた。

 相当ゴブリンロードとの戦闘が頭に残っているらしい。


 話のついでに、僕の考えている一番良い立ち位置を教えておくことにした。

 後衛に専念させても、ストレスで突っ込んで行きそうなので最初から前衛にするしかないよな。


 「夏希は今の所は前衛で攻撃しながら回復するアタックヒーラーが一番だとおもうな。今日も戦う時はそれでお願い。そのスタイルならお兄ちゃんは勝てないだろうね」

 「まじかー。まぁその分遠距離は頑張りますよと。てか今の一言いる?」


 お兄ちゃんは気にせずやっと近くに来たゴブリン達を二回目の魔法で燃やし尽くした。

 ちゃんと役割を理解してるのは流石大人だ。

 僕はゴブリンの魔石をまた大量に収納魔法で回収した。

 するとそんな僕を夏希はじーっと見つめていた。


 「そう言えばさ。ハルト私も知らないのに聖女のスキルを持ってるのが分かったの?」


 僕は前世から、勝手に鑑定するのは宜しくない行為として上げられるものですっかり忘れて鑑定していた事を思い出した。


 「ごめん!鑑定の魔法でステータス見ちゃったの。どうやって倒したのか気になって」

 「そうなんだ」

 「怒ってない?」


 夏希にいつも通り叱られると思ったのだが、そんなことは無くスルーされてしまい僕は少し驚いた。


 「だって魔法で見たんでしょ。無理やりステータスカードを取り出したとかなら起こるけど。まぁあまり良い気はしないから程々にしてよ」


 今世では、ステータスを鑑定で勝手に見ることがマナー違反と広まっていなかったので奇跡的に助かった。

 今度何か奢ろう。


 「夏希はもう戦わなくて良いよね?」

 「そんなこと言ってたね。すっかり忘れてた。ゴブリンロードの魔石があるならハルトのお兄ちゃんにおまかせするわ」

 「任せてください」


 夏希はお金が稼げていた事で、ゴブリンとの戦闘へ執着しなくなっており安心した。

 

 「私には遠距離は向いて無いんでしょ」

 「そんな事ないよ。前衛が圧倒的に凄いだけですぐ使えるように教えてあげあげるよ。元々聖女のスキルは遠距離メインだし」

 「ありがとう」

 

 そろそろ話す事が無くなって暇になりぼーっと椅子に座っていると一度ゴブリン達が流れ出なくなった。


 「お兄ちゃん。デカいの来る前に全部焼き払って」

 「オッケー!アストラルファイヤー」


 百匹程、微妙に出ていたゴブリン達を魔石へ変え回収し僕達は戦闘態勢に入れた。

 ゴブリン達と一緒に向かってきていた大きな足音の主は、まだ姿を見せていないのに上級冒険者でも倒れてしまいそうな程の圧力を飛ばしており、階段の近くまで来ていることが分かった。

 そしてそいつは僕へ声をかけてくる。


 「そこのチビ。お前はどの勇者だ?」

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