残念お兄ちゃんと金持ち夏希
「いや全滅だし!?これだけで俺の倍近く殺ってね!?」
「んー。お兄ちゃんが確か三百匹くらいで、今のがねちょっと待ってね」
僕は収納魔法で、燃やし尽くして消えていったゴブリンの魔石を全部回収して数えた。
まぁまぁの数があり、これだけあればそこそこの値段がする。
「今の一発で五百匹くらいだから一つ五百円で二十五万円だね。お兄ちゃんは十五万円ね」
「ハルトは一発で二十五万円なのに俺はあんなに戦って十五万円は納得いかないな」
まぁ僕も、ほとんど切れと言われたらブチ切れるだろうけどこればかりは仕方ない。
前準備と実力の差だ。
「まぁ実力の差ですね。お兄ちゃんも頑張ればこれくらい出来ると思うから頑張って!それともお兄ちゃんがやる?ファイヤーは前教えたから魔力注ぎ込めば出来るよ」
「まじ!?」
「まじ!」
お兄ちゃんは真実を聞いて地面に項垂れてしまった。
魔法ぶっぱなす方が楽だもんね。
あれだけ頑張ったお兄ちゃんには賞賛しかないよ。
「お兄ちゃんもやれば一発二十五万だよ。今らでも遅くないと思うけどなー」
一度全滅したのにまだ出続けるゴブリンは少しずつ数を増やしていた。
僕はそんなゴブリンを見てお兄ちゃんの耳元で、悪魔の
お兄ちゃんだと一回撃つと魔力切れで、かなりきつい体調不良になり魔力を込めた魔石で回復しないといけなくなる。
魔石の回復量は注ぎ込んだ分の回復が出来るのだが、体内に蓄積できる魔力量を上回って回復は出来ない。
そのせいで魔石がだいぶ無駄になってしまうが、沢山あるのといつでも作れるので好きにさせであげよう。
ダンジョンの広場はかなり広く、ゴブリンが寄ってくるまでかなり時間がかかる為、次の魔法まで待ち時間が出来てしまい雑談を始める事にした。
恐らく現在世界で一番危ない場所で、いつも通りの日常を送る人は僕達兄弟だけだろう。
まぁ毎回死が目前の場所でふざけ回っているから慣れて特に何も思わないんだろう。
「やる気満々だったのにごめんね。お兄ちゃんやる気出しちゃって」
話を振り夏希を見ると安心しきれないようで、剣を少し強めににぎっているが最初程緊張してる訳では無かった。
気を張りつめ続けると、後々きつくなるのでリラックスさせてあげよう。
「大丈夫だよ。ただ今から戦わなといけないと思ってたのに二人の会話を聞いてちょっと表情抜けしちゃって。ハルトのお兄さん凄い人なんだね」
「そりゃうちのお兄ちゃんは天才ですから」
僕はお兄ちゃんが褒められて嬉しくなり冗談も込めてドヤ顔をした。
「なんで俺じゃなくてハルトがそんな顔するんだよ」
「そりゃ育てたの僕だし」
「育てたって。間違っては無いけど」
流石にお兄ちゃんは弟に育てられたと言われ、微妙な顔をしていたが間違っては無いので何も言い返せなかった。
「ゴブリン近付いて来たからイメトレでもしといて」
「はいはい」
軽く話をしていると、ゴブリン達が目の前に来たのでお兄ちゃんは魔法を撃ち
僕達でなければ、ほとんどの冒険者は死んでいるはずなのに余裕すぎて、達成感もなんて何も無さそうで、どちらかと言うとショックで倒れそうだった。
「余裕すぎた。俺はどれだけ無駄な戦いをしていたのだ」
「どんまい!お兄ちゃん」
「いいなー私も戦って稼ぎたかったんだけどな。ハルト私も魔法打ちたいから教えて!」
夏希は僕達兄弟が魔法を打ち込むのを見て、元気が戻り自分も教えてと目をくりくりさせ上目遣いで見つめてきた。
これは流石に可愛い。
あと少しで許可を出しそうになったがギリギリ
「可愛こぶってもダメです!」
「せっかく可愛くしてあげたんだから良いじゃん!私も稼げるようになりたい!」
今度は駄々っ子になっていた。
今日はいつもと違う夏希が見れてお得な気分だ。
けれどそれとこれは別なのでしっかりと説明をして納得させることにする。
「一応この中で一番稼いでるの夏希だからね」
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