地獄の炎と増殖するGOBLIN
「これから一緒に生活するならテイム状態にしないといけないんだけどやっても良いか?」
フェストをダンジョンに入れる時色々と教えてもらったのだが、ダンジョンの外でもモンスターが逃げ出してきたと勘違いされないように、ダンジョン協会の印の入ったアイテムをつけなければならない。
印入りのアイテムはダンジョンにあるブースでしか貰えず、その時にテイム状態でなければ殺害対象になるか元のいた階層に返さなければいけない。
その為にリンもテイム状態にしなければならないのだ。
リンはホーリードラゴンと上位種族なのでプライドが高く、テイムされたくないと言わないか心配だった。
「一緒にいる為に必要なんでしょ。好きにして」
抵抗すること無くすんなり受け入れてくれたのでとても安心した。
テイムの儀式は体の一部を触り、心を一つにしなければならない。
その為リンの頭に触ると、フェストのテイムの時はいつの間にか終わっていたので感じる事の無かった、テイムの儀式時に起こる心が繋がりを感じた。
ステータスを見るとしっかりと備考欄にあるテイムの場所へ、フェストと並んでリンの名前があった。
これで無事リンもテイムできた。
「お兄ちゃんと家族に相談しないとな」
前回のフェストを家に入れた時は、家の前にいたと言い訳したのだが今回はお兄ちゃんと一緒に堂々と連れてくるのだ。
絶対にお母さんに怒られる。
どうやって説得するべきか・・・
しばらく雑談をしながら歩いているとダンジョンに異変が起こり始めた。
ダンジョンの中から子供のような、小さく沢山の足音が響き始めたのだ。
そしてその中には重厚感のある大きな足音が混ざっており、一歩踏み込む度に大きく地面が揺れていた。
こちらを威嚇する為にわざと揺らしているのだろう。
更にそいつからは夏希が倒したゴブリンロードを超える強い圧力を感じた。
「もうゴブリン見たくないよー!」
お兄ちゃんちゃんは、もううんざりという顔をして脱力していた。
「夏希は他の子と一緒に帰れ。次のやつはゴブリンロードより数段強い」
「バカにしないで!さっきの雑魚程度なら私だって余裕よ!あんたはさっさとデカそうなの倒してきなさい!」
夏希は少し前の表情では無かった。
冒険者の顔をして相手を弱く見ておらず、しっかりと対応出来る部分と出来ない部分を見極めた上で言っていた。
ゴブリンロードとの戦いで二回りほど頼もしくなっている。
少しでも数が欲しい状況でこの言葉はありがたい。
「夏希これ渡しておく」
僕はマジックバックに魔力を詰め込んだ魔石を入れた。
そして社長から貰ったショートソード二本とマジックバックを一緒に渡す。
「魔石の使い方はお兄ちゃんに説明したのを聞いてたよな。無くなりかけたらすぐ使え」
「分かった」
渡したマジックバックはすぐ腰につけられキュッと剣を握りしめる。
「絶対死ぬなよ」
夏希は素直に頷きお兄ちゃんは全く覇気がなかった。
「早く助けに来いよ」
「お兄ちゃんは最後に助けるからね」
「なんでだよー!お兄ちゃんもう疲れたよー」
「子供みたいなこと言わないの!」
冗談を言うお兄ちゃんを鼓舞し、戦いが終わったら今度美味しいものを食べようと約束をした。
近付いて来ていた足音はとうとう姿を現し案の定ゴブリンだった。
ゴブリン達は、全ての階段の最上段から水が落ちるように留めなく飛び降りて、僕達へ全方位から満遍なく距離を詰めてくる。
「お兄ちゃんが戦ってきた時こんなふうに落ちてきたの?」
「そうだよ」
「気持ち悪くね」
「虫みたいだよな。もう見たくない」
「お兄ちゃんが嫌がる理由が分かったよ」
大多数の人が嫌いな、黒くてテカテカしたやつに見えるような気持ち悪く登場するゴブリンは、残り数十メートルまで迫ってきていた。
夏希とお兄ちゃんは剣を構え、対抗しようとしていたが僕は一度ストップをかける。
「二人とも少し待って。アストラルファイヤー」
僕は火の初級魔法のファイヤーへ魔力を大量に使い高火力広範囲にした、アストラルファイヤーをダンジョンの広場全体に広げ、地獄の炎が燃え盛る世界を作り上げて地面に着いたゴブリンを全て焼き払った。
そして僕は魔力を込めた魔石を一つ破壊してかい全回復した。
「これで多少は減ったでしょ」
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