ご飯と約束

 「お兄ちゃんなんか食べてから帰らない?」

 「そうだな。汚いしテイクアウトして公園ででも食べる?」

 「んーじゃあ綺麗にするよ」


 僕はダンジョンの戦いでかなりのエネルギーを使い、今すぐにご飯を食べたいので生活魔法のクリーンを使い、体と服の汚れを落としお風呂後でおろしたての服を着込んでいる状態にした。


 「すっげー気持ち!何これ!」

 「夏希にもしてあげるよ」


 綺麗にした手で夏希の背中を触り、クリーンを使い全身を清潔にしてあげた。


 「これ凄い!今度教えて!」


 夏希ぴょんぴょん跳ねて大喜びし、年相応の姿が見れてほっこりした。


 「これも教えるよ。ねぇ夏希も一緒にご飯行く?」


 盛り上がっているついでに、夏希もご飯に誘ったのだが良い返事は貰えなかった。


 「お金無いから遠慮しとく」


 そりゃそうだよね。幼稚園生がお金もってる事ってまず無いよね。


 「夏希ちゃん大丈夫だよ!俺達はこれでもダンジョンで稼いでるからね。それに今回のゴブリンの魔石売ったら、そこそこになると思うからお金の心配は無いよ。高級ステーキでも余裕だよ!」


 お兄ちゃんはかなり稼いだと思っているので、大盤振る舞いしようとしているか今回のゴブリン達は中層で戦った魔石の大きなゴブリンではなく、低階層ボスサイズの魔石しか持たない一つ五百円程度最安値なので、百万程出ると思っていたら大間違いなのだ。

 まぁ知らない方が良い事もあるよね。

 沢山奢って貰おう。


 「じゃあお願いしようかな。ちゃんと返すから借りるって事にしといて」


 相変わらずの真面目っぷりで、メモ帳に金額を書いて一円単位で返しそうな気がするので前世からのお得意技をつかった。


 「じゃあ今度奢ってよ。これでチャラね」


 流石にこれなら夏希も了承してくれた。

 いつかクレープ程度の物を買ってもらおうかな。

 奢りっぱなしはあまり心情出来にも宜しくないので見返りで、安めで楽しめる物にするのがおすすめだ。

 

 「ハルトお願いがあるんだけど」


 夏希は一度も見せたことの無い深刻な表情で僕にお願いをしてきた。


 「どうしたの?」

 「私のお母さん入院しててね。ハルト紹介したいから何時いつでも良いからさ会って欲しいの」

 「じゃあ今から行こう。病院の近くでご飯食べてそのまま行こう」


 お兄ちゃんも頷いてくれたので食事後にそのまま行く事になった。

 真面目なお願いなら仕方ない。

 夏希はありがとうと頭を下げていたが、ここまで出来る子供ってあんまり居ないよな。

 もしかして夏希も結構凄い子供なのか?


 英雄も横で同じ事を思っており、ハルトの周りの成長速度がおかしいと分かっているがその中に自分も含まれている事までは知らない。


 「病院の近くにどんなお店ある?」

 「んーワックとか?あとファミレスあったよ」

 「じゃあファミレスで良いか」

 「好きな物選べるからそうしようか」


 僕はずっと気になっていた、僕にも出来ない謎の現象への質問をした。


 「そういえば夏希はどうやって僕を生き返らせたの?」

 「んー良く分かんない。白い剣がやってくれたんじゃないの?」

 

 僕は空を飛んで着いて来ているリンを抱き寄せ聞いてみた。


 「リンが僕を生き返らせたの?」

 「さっきも言ったけどあの子が全部やったのよ」


 行った本人も分かっていないので、恐らく聖女のスキルが勝手に発動して生き返ったのだろうと思うことにした。

 お兄ちゃんと夏希は急に子ドラゴンのリンが喋り始めたので驚いていた。

 

 「あなたがあの白い剣なの?」

 「そうよ。私に感謝しなさい」

 「ありがとうございます?」


 まぁいきなり可愛い子ドラゴンが、さっきまでの剣でしたは分からないよね。

 リンにはお願いして、一度元の剣の姿に戻って貰い二人に見てもらった。

 すると夏希も理解したのでちゃんとお礼を言っていた。


 「私の方こそハルト助けてくれてありがとう」

 「二人共似てるな」


 つんつんしてる所だとか結構似ている気がする。相性が良いのかもしれないな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る