ゴブリン絶滅と影
「いやこれどうゆう状況!?ゴブリンが多すぎてあれみたいだし」
お兄ちゃんは、うじゃうじゃとしているゴブリン達の死体の山を作り蹴るを繰り返し、フェストは子供達が隠れている壁の周りを走り回ってるし、色々と情報量が多すぎる。
「とりあえず行くか」
僕は一緒に居る、夏希以外の皆を浮遊魔法で浮かせ空中散歩して壁の中へ向かった。
子供は突然体が浮き始め驚いていたが、下を見ると何十メートルもあり、恐怖で黙り目をつぶって上を向いていた。
途中少し強めな風が吹き、追い打ちを喰らい怖がり縮こまっていた。
ダンジョンの中でどうして風が吹いてるのか不思議だ。
美雪先生も同じように怖がって目を強く閉じて上を向いていたのだが、何故かキス待ちしているようにしか見えず心のシャッターを押しまくった。
美雪先生のキス顔可愛すぎる。
是非とも二人の時にして欲しい。
「あんただらしない顔してんじゃないわよ」
いつの間にか目を覚ました夏希は、僕の顔をポスポスとあまり痛くないないパンチをしてきた。
「どうしたの?いつもより元気なくない?」
「うっさいわね!いつも通りよ。バカ!」
夏希は僕の為に泣いてくれる優しい女の子だから未だに心配しているのだろう。
初対面の時が嘘みたいな姿に成長したなと思い、保護者のような感覚におちいった。
「ありがとな。夏希が皆を助けてくれたんだろ?」
「うん。まぁよく分からないけど助けられて良かった。ハルトもう心配させないでよ」
「分かったよ」
なんだか夏希が汐らしくなって、いつもより少し可愛く見えるのは何故だろうか。
「怖いから強く抱きしめて」
僕は夏希を、お姫様抱っこしている腕を体に寄せて強く抱きしめてあげた。
そして満足そうな顔になると、僕の胸へスリスリとおでこを擦り付けた。
こんなに可愛かったかな?目の錯覚か?
その状態のまま壁の中へ到着し、先生に引渡してお兄ちゃんの元へ事情聴取を始めようとした。
「お兄ちゃんこれどうゆう事?」
声をかけるとお兄ちゃんは、かなり疲労が溜まり辛そうな顔をして僕へお願いをしてきた。
「説明するから変わってくれね。もう魔力無いし疲れた」
僕は仕方なくお兄ちゃんと交代してあげることにした。
ファイヤーアローを目の前に大量作り、入ろうとしたゴブリン達の頭を一発で撃ち抜き、減った所を追加する魔法の一連の流れを作り、安全にしてから説明をお願いした。
お兄ちゃんは、ゴブリン達が急に大量発生し子供達を閉じ込められたので仕方なく対応をしたと、簡潔に起こった事を説明したのだがこれ以外特に情報が無く、特に突っ込んで聞くことも出来なかった。
「こんな事普通無いよな」
一応僕の方で起こった事を説明しておき話は終了した。
ちゃんと分かった情報が、何も出ないはずのダンジョンの広場に沢山ゴブリンが出た事と、一階層にゴブリンロードが出たくらいで情報がお粗末でしかなかった。
特に出てくる情報も無さそうなので、上空にファイヤーアローを適当に放ち、ゴブリン達の魔力のある場所へ雑に打ち込む暴挙にでた。
おかげで数秒程度で残っていた全てのゴブリン達を殺し、疲れたのでさっさと帰宅する事にした。
「俺があんなに頑張ったのに一瞬で・・・」
「疲れた帰ろう。ゴブリン達も収納したし明日にでも換金したらいいよね」
「ああそうだな」
お兄ちゃんに土魔法の壁を消してもらって先生方と会議を開き、これ以上は何が起こるか分からないので、ダンジョン遠足をお開きにし子供達に帰って貰う事になった。
僕達の方で起きた事は、幼稚園に戻り美雪先生が説明する事となり一分も掛からずテキパキと終わらせた。
会議が終わり、先生方は直ぐに子供達をダンジョンの外に誘導して残ったのは、僕とお兄ちゃんに夏希の三人になった。
「夏希は帰らないの?」
「聞きたい事があってさ。あれだけ強かったらゴブリンロードで死ぬ事無かったんじゃないの?」
夏希に一番の失態をダイレクトで聞かれてしまい、僕はなかなかのダメージを喰らった。
けれど優しい口調なので、意地悪で言っていないのだろうから許してあげた。
「夏希が危なくなった
「そうなんだ」
夏希は何故か嬉しそうに笑っていたが、どこが面白いのか全く分からない。
やっぱり僕へ意地悪する為に聞いたのか?
お兄ちゃんは夏希との話を聞きながら笑っていたので、とりあえず殴っておいた。
僕達は、ダンジョンの広場におかしな所が無いかさくっと確認して帰ろうとしていた。
「お兄ちゃんこれ使って」
僕は魔石へ大量に魔力を詰め込んだ物を、お兄ちゃんにかなり多めに渡しておいた。
「魔力が無くなったらそれを割れば回復するから」
ついでに今足りない魔力は、直接僕が分けてあげ魔力の足りないだるさを解消させた。
ダンジョンの広場は、全体的に見たけれど何も無かったのでやっと帰ることが出来そうだ。
「ハルト。戦い方教えてよ」
「しょうがないな。夏希の師匠になってやろう。厳しくするからな」
「はーい!」
僕達は、疲れた体を引きずりながらやっとダンジョンの出入口に向かって歩き出した。
「すみません。作戦失敗です。次を向かわせてください」
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