お兄ちゃんがイケメンすぎる件について

 その子はお湯入の水筒を持参し、ティーパックをカップに入れお湯を注いぎ、その場で紅茶を完成させ先生と雑談をしている。


 園内のトラブルや恋愛話等の面白い話をしており、いつの間にか拡散されている被害者が大量生産されていた。

 それはそれで良い思い出になるだろうとそのまま撮らせてもらっていた。

 だんだんと話が固くなり、政治についてや時事問題、バイトテロはなぜ起こるのかと保護者も考えさせる内容になっていく。

 この幼稚園は癖の強い子が多い気がする。弟を含めて。


 ハルトは現在どうしているのだろうか。

 ちゃんと男の子達と集合して帰って来れているのか。

 早くうちの天才ハルトを皆に見てもらいたいな。

 頭の中は、一日中ハルトや家族でいっぱいのお兄ちゃんだ。


 自由行動が始まって二時間がした頃だろうか。

 ダンジョンの中が、ドンドンと騒がしくなり異変が起こっていた。

 子供達も怖がり始め悲鳴をあげる子が出ていた。

 先生達は即座に、子供達をダンジョンの外に避難させようと大きな声で誘導を始める。


 先頭の先生が急がせながら出入口へ向かっていると、複数個ある次の階層へ行く階段から音の発生源が大量に姿を現し始める。

 音の発生源は、何度も倒したばかりのゴブリン達だった。

 ゴブリン達は階段の最上段から飛び降りていく。

 そしてすぐさまダンジョンの出入り口を封鎖し、子供達を閉じ込めてしまった。


 子供達はだんだんと、ダンジョンの外周から広いダンジョンの中央に押しやられていき小さく固まっていく。

 中央に集まった子供達は抱き合ったり、先生が励まし何とか精神を保っていた。

 だが、一人の女の子が泣き始め周りに伝染していった。

 

 ゴブリン達は留まることを知らず、次々に階段から降り最初は数十匹だったのだが、百匹を超え二百匹を超え千匹を超えていく。

 近くの先生たちも顔を青くし、気の弱そうな先生は涙を浮かべ何度も目を擦っていた。

 何とか涙を見せないようにしているが、何も出来なそうな状態だった。

 それならと思い一つだけお願い事を聞いてもらった。


 「すいません。カメラを持って子供達の姿を保護者に見せてもらってもいいですか?」

 「えっ!?はい」


 戸惑いながら返事をしたので、強制的にカメラを渡して撮影を交代した。


 「何、する気ですか」


 不安と絶望の顔でカメラを握り、涙を流す先生は不自然な行動をするカメラマン質問した。


 「絶対に皆を助けるから。だから子供達と親御さんを安心しさせて」


 先生の頭にぽんと手を乗せて軽く撫で、少しでも落ち着けるようにしてあげた。


 「フェスト準備はいいか?」

 

 フェストは、やろうとしている事が分かっているらしく元気にアン!と吠えて返事をしする。


 「やるか」


 自分の体内にある魔力の、四分の一程度を使い上空に向かって手を伸ばし、お得意の魔法をド派手に放った。


 「ファイヤーアロー!!」


 手の平から大量のファイヤーアローが上空にに飛んでいく。

 そして円状に取り囲んでいる、ゴブリンの先頭へ向けて放物線を描き体を的確に撃ち抜かれた。

 そして、その魔法を放ったカメラマンに全員の視線が飛ぶ。


 「皆安心しろ!俺が全部ぶっとばす!」


 子供達からは、驚きで涙が消え唖然としていた。


 「ウォール」


 俺の魔法で子供達の周りに、丸く巨大な壁を作り一箇所以外ゴブリン達の情報を遮断した。

 そして開けておいた空間でマジックバックから剣を取り出す。

 子供達を襲うべくして、流れこもうとするゴブリン達と俺の戦闘を開始しした。

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