子ドラゴンと次の戦いの始まり
僕は、女神様と居た世界から魂が肉体に戻り目を覚ました。
そして体を勢いよく起こし、臨戦態勢に入れバックステップで距離を取った
「皆だいじょ、うぶ?」
周りを見渡すと、顔面が二つに分かれたゴブリンロードと夏希が二本の白銀の剣持ち地面に寝転がっていた。
そして美雪先生や男の子達が、夏希と同じ場所に集まり結界の中に閉じこもっていた。
「主人起きた!」
夏希が持っていた双剣は、光の粒子になって一本の馴染みのある剣の姿に変わった。
そして剣は、小さな白いドラゴンの姿に変化し僕の胸へぷかぷかと飛んできた。
その子を抱っこして、目線を合わせてやるとどの人物なのか思い出した。
「お前リンか!小さくなったな!お前が助けてくれたのか!」
僕は小さなドラゴンを、前世で仲良くしていた、ホーリードラゴンのリンだと見抜き、このよく分からないこの状況をリンが助けてくれたのだと思った。
「違う。赤髪の子供がやったの。私は剣になってちょっと手伝っただけ」
この場所に赤髪の子供は夏希しかいない。
つまり夏希がゴブリンロードを倒したのだろう。
戦闘経験が無い、一般人の夏希がどうやって戦ったの分からない。
けれどリンは、嘘を付く事が嫌いな聖属性の誇り高いホーリードラゴンなので疑いはしなかった。
「そうなのか。どうやったんだ?」
「体が何となく動いたんだって」
「どういう事だ?」
僕は夏希を、鑑定魔法で探ってみるとスキルに聖女があった。更に珍しい剣聖の加護を持ち合わせていた。
夏希はゴブリンロードと戦ったはずなのに、体に全く傷が無く綺麗だった。
聖女の回復魔法を使いながら戦い、倒した後結界を張って全員を守り、魔力が枯渇して倒れてしまったのだと容易に考察できた。
「剣で使う魔力以外の魔力操作はリンがしてたんだろ。ありがとな」
僕はリンの頭を撫でてやり、毛並みを整えるようにしてやると気持ち良さそうにしてゴロゴロと喉を鳴らしていた。
「主人を助けたかったから、利用しただけだもん。私の剣を使いこなせるのは主人だけ。今はハルトだからハルトしか使いこなせないの!」
リンは体を擦り付け甘えてくる。小さい体とも相まって可愛さが限界突破している。
尊い。
「それにしてもここにどうやって来たんだ?」
リンは一瞬だけ考える様子を見せたが素早く説明をしてくれた。
「私は剣の記憶で作った分体だから本体じゃないの。だから来たんじゃなくて、ずっと一緒に居たんだよ」
「なるほど」
そうなると僕はアンデット達との、不甲斐ない戦いを見られていたと分かり、微妙な感情になった。
そして今回も迷惑かけてしまい申し訳無くなった?
「ごめんな。弱くなっちゃって」
「そんな事言わない!強くなればいいの。今度は一緒に居れそうだしね」
「そうだな」
リンに
やはり何百年も生きているドラゴンにはかなわないな。
僕はリンを抱きながら、今回の労働者の夏希へ近寄り魔力を送り感謝した。魔力があればすぐに目を覚ますだろう。
「美雪先生。皆は大丈夫?」
「・・・あっ、うん夏希ちゃんのおかげで大丈夫よ」
「それなら良かった」
美雪先生は、脳が
それもそうだろう。
夏希を助けて一度死んだ僕が生き返り、夏希は剣を持ってモンスターと戦い、戦闘後剣がいきなり小さなドラゴンになるなんて、現実ではありえない事のオンパレードだ。
脳がフリーズする方が普通だ。
そんな状況でも、美雪先生は僕と夏希の心配をしていた。
「それよりハルト君と夏希ちゃんは大丈夫なの!?」
「僕は夏希のおかげで大丈夫。夏希も治したから直ぐに起きますよ」
美雪先生は、僕達に心配が無い事を聞き安心して胸を下ろした。
「じゃあ早く同学年の子達と集合しましょう。皆心配していると思うし」
「分かりました」
美雪先生は夏希を抱っこしようとしたが止めて、リンを地面に下ろして夏希を抱っこした。
「疲れてるだろうし持つよ」
「ありがとう。力持ちね」
「もう今更でしょ」
「まぁね。あと小さいドラゴンがハルト君を叩いてるけど大丈夫なの?」
「後で可愛がるから大丈夫」
リンを下ろした時、足元をそこそこの威力でずっとバシバシ叩いていたが、可愛がると聞いて大人しくなってくれた。
「じゃあ行こう」
僕は結界を消して先導して歩き初める。
するとリアムや男の子達も、美雪先生と話し一緒に動き始めた。
目の前にある階段を下り、お兄ちゃん達が居る階層を上部から見下ろす。
するとそこには、土魔法のウォールで作られた円状の壁があり、その周りを大量のゴブリンが囲っていた。
そして一部壁がない部分で、お兄ちゃんが一人で戦い死体の山を作りあげていた。
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