女神様再び

 僕は目を覚ますと、真っ白く広々とした何もない世界で目を覚ました。


 「あなたもここへ来てしまいましたか」


 僕の目の前には五年前会った、綺麗な女性が横に座っていた。


 「あー死んだー。久しぶりの女神さんだー」

 「今回は早かったですね。体も小さくて可愛いです。抱きしめましょうか?」


 女神様は素晴らしい提案を出してきた。

 現在の女神様の服装は、神様特有の薄い布一枚だ。

 これで抱きしめられたらあれが当たってしまうじゃないか。


 「お願いします」

 「嘘です」


 なんやねん!


 まさか五歳で死んでしまうとは情けない。

 死で悲しむ人を見たくないとか考えていたのに、まさか自分の家族を悲しませてしまうとは。助けに行ってこれとは本末転倒だな。


 「今日は疲れましたよ。何人も異世界に送ったのに、あなたまでとは意外でした。最強のあなたが、もしかして怠けてました?」


 怠けていたと言われても仕方ない。それだけ早く死んでしまったのだ。あれだけの力を引き継ぎながら油断して死ぬとは。

 まぁ誰かを助ける為に死ねただけでも、前世の自分に比べてら成長しただろう。


 「冗談ですよ。ちゃんと一部始終見ていましたよ。あの世界はめちゃくちゃですからね。仕方ないと言えば仕方ありません」

 「あのゴブリン達は何なんだ?見てたなら分かるだろ!」


 僕は女神様の服を掴み揺らして答えさせる。

 すると女神様は僕を投げ飛ばした。

 そして着衣という名の布を綺麗に直し初める。


 「相変わらず変態ですね。あの教師だけでは無く私までセクハラするとは見境無いのですか?」

 「すまん」


 死んでも変態扱いとはなかなか酷いな。故意ではないので許して欲しい。


 「まぁいいですよ。あの世界に最近ダンジョンが出来たのは知ってますよね?」

 「そりゃもちろん」

 「ダンジョンが産まれるのは、魔力の無い世界に魔力が産まれる事が条件なのです」

 

 僕は世界の摂理という、大事な話を聞かされている。この事を知っている人は、ほとんどいないだろう。なぜこの話を僕にしているのかは分からない。

 一応僕が産まれる前からダンジョンはあったので僕のせいでは無いだろう。


 「未来では地球に魔力が存在しないはずでした。ですが一人の魔力待ちが、何故か産まれてしまったのです。ダンジョンとは世界に魔力を満たす機械のような物だと考えてください。ダンジョンが産まれると世界全体に魔力を満たそうと、通常の数倍の魔力をを放出します。そこをあなたが戦った二年前のリッチキングや、今回のゴブリン達が関係してきます」


 ここでやっと話が近くなった。スケールが大きい話でどうやって繋がるのか全く分からなかった。


 「リッチキングのボスが誰か分かっていますね」

 「魔王の魔力を持っていたからな。そりゃ魔王だろ」

 「ええ。分裂した魔王の本体は、体を回復させるには丁度良い世界を見つけたのです。魔力が大量に産まれ永遠に回復する事が出来る、ダンジョンが産まれたばかりの世界を」

 「それがこの地球なのか」

 「正解です」


 ここでやっと話の全貌ぜんぼうが見えた。ここからは以前の想像通りだった。


 「魔王は魔力を与え配下を作り、力を集めるように命令しました。前回のリッチやゴブリン達へ。そして行動を始めた時、奇跡的にあなたが現れたのです。リッチキングの時はあの子達の犠牲もあったのですが、無事倒す事が出来ました。ですが今回は厳しいのかも知れませんね」

  

 犠牲とは、フェストの両親の事だろう。

 僕が前世の時に魔王を倒していれば、フェストの両親が亡くなる事は無かったのだろう。


 「僕が倒していれば、フェストの家族も美雪先生達も死ぬことは無かったのに。本当にごめん」


 僕はここまで自分の無力さを感じた事は一度も無いだろう。


 「ちなみに前世で倒していればと思っていると思いますが。絶対無理ですよ」

 「どういうことだ!」

 「あいつと種族のランクが同等以上でないと、魂が崩壊しないのですぐに肉体を持って復活してしまいます」


 ん?どういう事だ?動きの悪い脳を頑張って回転させ、一つの答えにたどり着いた。


 「僕がやってた事全部無駄じゃん!」

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