やっと始まったダンジョン散歩
「オセロじゃない
「オセロさんここまで偉かったんですね」
「一応このダンジョンで一番偉いからな。何かあったらなんでも相談すると良い。何かと大変そうだからな。あとオセロじゃない雄朱路だ」
オセロさんは僕の事を気にかけているようで、何かあったら素直にお願いするとしよう。
あとオセロと呼ばれるのは嫌らしく雄朱路とちゃんと呼ばれたいらしい。
「ありがとうオセロさん」
「オセロじゃない
「ルビ打ち込むの大変なんだよ」
「ならば仕方ない」
作者の権力で、強制的に
「オセロさん名前凄いですね」
「凄いよな。自分の名前を聞いた時、幼いながらも衝撃を受けたのを覚えている」
流石に自分でも驚いたらしく、オセロさんの両親のセンスが知りたくなった。
「あと気になったのがスキルと名前がそのまんまじゃないですか。何が、みとおすろですか。名前がスキルそのものを表しすぎでしょ」
「本当だよ。まさか自分のスキルが名前と似た、嘘を見抜くだったなんて思いもしなかったよ」
とても優秀な人なのだが、どうしても残念に見えてしまい覇気にかけ、柔らかな親しみやすい印象を受けた。
オセロさんもきっと人生苦労したのだろう。
「ちなみにハルト君はどうして私のスキルが分かったのだい?」
「鑑定を使ってステータスを覗き見ました」
「何だい。私より水戸
お得意の冗談なのか、会話中にもユーモアを持ち人柄の良さが滲み出ていた。
「要らないですよ。僕にはハルト充分です」
「そうか」
冗談そうに言っていたのだが本当に悲しんでいるように見えた。
長い時間が経った今でも気にしているのだろうか。
「君のダンジョン探索の事なんだがね。ダンジョンに潜入する前に一度受付に声をかける事が条件で許可を出すことにしたよ」
「お手数をおかけしてすみません」
「このくらい全く手間じゃないから大丈夫さ」
「ありがとうございます」
「気にすることは無い。未来ある若人には、のびのびと頑張ってもらいたいからね」
オセロさんは翌日にはしっかりと対応を終わらせ、仕事の出来る素晴らしい人格者という評価を自分の中でつけさせてもらった。
「ちなみに今日は問題起こさないでくれよ」
「もちろんです」
今日の僕は何があっても、フォローする側だと自負している。
まぁ毎度毎度トラブルなんて起きないだろう。
「ハルト君そろそろ行くよ」
「今行きます!」
美雪先生に再度集合をかけられたので、オセロさんにお礼を言い離れた。
そして、集合した僕達はやっとダンジョン探索が行われようとしていた。
「全員集まったので行きましょうか。皆さん!絶対一人で行動しないで、何かあったら先生達に一言相談してくださいね」
美雪先生は、子供達に最後の注意をして出発を始めた。
少し歩いてダンジョン最下層に侵入し、絶対に攻撃してこないスライムが僕達を出迎えてくれた。
「皆さんこのぷにぷにの青いモンスターがスライムと言います。攻撃はしてきませんがあまり近付かないでくださいね」
ぴょこぴょこと跳ね回るスライム達を見て、心が安らいで行くのを感じる。
たまにはこういったダンジョンも良いのかもしれない。
「ハルト!この子達可愛いわ!」
夏希はスライムに追いかけられ、楽しそうに鬼ごっこをしていた。
可愛い友達がしかめっ面では無く、笑顔を浮かべていてこっちまで笑顔にさせられる。
「きゃ!?」
背後にいた美雪先生は、いつの間にかスライムが太ももに引っ付いていて、びっくりし小さな悲鳴を上げて転んでいた。
僕は、このダンジョン遠足の楽しみ方が分かってしまった。
日頃見れない美雪先生の私服や、いつもは見せない内側の部分を眺めるのが楽しいのではないかと思ったのだ。
美雪先生どんな時も可愛いです。
僕はサッと手を差し出し立たせてあげ、オセロさんのみたいな優しい男の子の部分を見せてみた。
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