ゴブリンの素材とホブゴブリン
「そんな事は置いといて、ゴブリンの魔石取りに行こう」
都合の悪い事を聞こうとするお兄ちゃんは無視をして、首無しゴブリンメイジへ進んだ。
ゴブリン種の体は上位種を除いて一つも良い素材が取れない。
お金になる部分は魔石くらいしか無く、ゴブリンは繁殖能力が高い為に、他のモンスターの魔石より高めに買取される。
だが素材としての利用価値といった点では、他のモンスター達と変わらないのでゴブリン種を狙って狩る事は全く無い。
今回の場合ゴブリンメイジで、杖を回収出来高品質だったので利益としては良かった。
もし杖がなかった場合、正直放置してやりたいくらいだ。
だが冒険者の暗黙の了解で、余裕のある時はゴブリンを狩れとなっているので仕方なくやっていただろう。
僕はゴブリンメイジの胸に解体ナイフを差し込んでえぐり、傷一つ無い魔石を取り出した。
そして握られている杖を奪い取り、お兄ちゃんに渡す。
「お兄ちゃんさっき魔法を切ってたけトレースのスキルで使えるんじゃない?」
「分からないけどやってみる」
お兄ちゃんは杖を受け取り、よく魔法を理解していないが何となくで魔法を使おうとしていた。
「エクスペ…」
僕は有名な呪文を使おうとしている杖の手首を持ち静止させた。
「それは絶対違う」
「やっぱり」
「絶対違う。魔法は自分が撃とうとしている魔法を想像して、どのような現象が起きるか最後まで考えて使うと上手くいくよ」
魔法を使う上での基礎を教えると、お兄ちゃんは杖を手首でクルリと回し魔力を先端に集め魔法を発動させた。
「ファイアーボール」
魔法は精霊に力を借りて発動するものだ。
詠唱無く発動できる場合は、イメージが脳に固定されている場合であり、ほとんどの人間は無詠唱だと発動前に魔力が霧散してしまう。
その理由として、魔法は精霊がイメージを汲み取って発動させてくれるからだ。
それをイメージを補うために、この魔法を使います。力を貸してくださいの意味を持つ詠唱をするのだ。
無詠唱は精霊達が瞬時に理解出来る程のイメージを脳へ染み込ませ、以心伝心してようやく発動できるのだ。
そんな高等技術をお兄ちゃんは魔力を霧散させず、一度で発動させたのだ。
僕の修行はなんだったのだろう。
やはり自分の努力を超越されるのは精神的に辛いものがある。
「なんか出た」
「詠唱しなかったの?」
「なんかしなくても出来そうだったから」
魔法は使えるようになった時詠唱を脳に刻まれるので、魔術書を見ながら発動させるので無ければ覚える必要は無い。
お兄ちゃんの場合は詠唱も必要無いとの事で、無詠唱が詠唱として脳に刻まれたのだろう。お兄ちゃん凄すぎる。
実験結果としては体で直接魔法を受けなくても、剣で切れば無詠唱で発動出来るだった。
魔法の実験が終わり、再度上層への階段を探して居るのだが普通のダンジョンに比べて、モンスターのエンカウントが全く無かった。
他のダンジョンならば戦闘を数回こなしている時間なのだが、最初のゴブリンメイジ以外一度もエンカウントしていない。
少し前に狩り尽くされたのだろうか、ただの散歩と化して戦闘狂の僕とフェストには暇すぎた。
特に戦闘好きでは無いお兄ちゃんも、暇すぎ早く戦いとぼやく程だった。
「いないねー」
「そうだな」
「なぁフェスト匂いで分からないのか?」
フェストに聞いてみると首を縦に振り、ゴブリンメイジの杖を嗅がせろとの命が下り、言われた通りに嗅がせるとジェット機並のスピードで走り出した。
足跡を辿りながら追いつくと、現場には滞在している階層に出るはずの無いホブゴブリンの輪切りが三体分転がっていた。
フェストは今までの
そして魔石の横でしっぽを振り回して喜ぶフェストの姿が見れた。
「上手に取れた!」
嬉しそうにテレパシーを送ってこられ、体のサイズに合っていない強力な持つ家族が褒め欲しそうにしていた。
「フェスト凄いな!偉いぞ!」
褒めながら頭をひたすら撫ででやると、大興奮し大ジャンプして僕の腕の中に飛び込んでくる。
「かわいいな!」
いつもならば、剣を構え細心の注意を払ってダンジョンを歩くのだが、全くモンスターにエンカウントしない事とまだまだ低階層なので抱っこしたまま進む事にした。
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