コーヒーは甘々で
美雪先生の持ってきたばかりの小テストをいつも通り両手で答え合わせを終わらせていった。
「相変わらず早いね。両手でやるのとか普通出来ないでしょ」
僕が小テストを片付けたところで、机の上に出来たてコーヒーを美雪先生が置いてくれた。そしてそのままの流れで角砂糖を十個程を入れてくれた。
「よく太らないね。やっぱりあれだけの事したら、エネルギーが足りないのかしら」
「多分ね。ずっとあの生活してるけど太ってないし」
「羨ましい」
美雪先生に一言感謝を告げ、砂糖が溶けきれておらず飽和状態のコーヒーを一気飲みする。
「ハルト君いつも砂糖大量に入れてるけどブラックで飲めないの?」
「飲めるよ。ただ飲みたいと思わないんだよね。甘い方が好き」
ブラックでもコーヒーは美味しいと思うけれど、エネルギー補給として超絶甘めにして飲む以外は特に飲みたいとは思わないのだ。
その為前世からほとんどブラックで飲むことは無い。
美雪先生の飲む予定のブラックコーヒーを一口貰って飲んでみたが、確かに美味しいとは思うのだがやっぱり甘い方が良い。
ブラックコーヒーよりも、メロンソーダとかドクターペッパーとかの方が飲みたいと思う。
「何ブラックコーヒーごときでイキってるのよ」
いつの間にか退出したはずの夏希ちゃんが僕の横で呆れていた。
「どうしたの夏希ちゃん。お菓子食べに来たの?」
僕は手元で開けていたチョコボーを口に向けて差し出すと、前へ出て食べようとするのだが顔を赤くして逸らし断られてしまった。
「要らないわよ!問題忘れたかから取りに来たの!」
僕は答え合わせ済みの小テストの山の中を漁り注文の品見つけて渡した。
「どうぞ。解き方も書いといたから頑張って」
「ありがと」
夏希ちゃんは一言だけ告げ、特進クラスの教室に戻っていった。
少しだけ態度が軟化したような気がして少し嬉しかった。友達になれたのが大きかったのだろうか?
「夏希ちゃん柔らかくなったわね」
「やっぱり?」
夏希ちゃんは見た目が良いけど性格に難アリから、見た目も良くて性格も良くなってしまった。
もしかしたらモテモテになってしまうのじゃないか?せっかく出来た友達に相手されなくなってしまう!早急に手を打たねば。
そんなことを考えていると、僕のタブレットに一つの通知が入った。
中身を見ると社長からだった。
出来上がったから好きな時間に持っていこうとの事だった。
「かなり早いな。まだ一日経ってないじゃないか」
普通に剣を作るのならば、余裕を持って二週間は欲しい所だ。それをこのスピードで作れたのならば僕の意図に気付いたのだろう。
社長に明日のお昼に持ってきて欲しいとお願いして、軽食コーナーから数個のお菓子を取って机に戻った。
「夏希ちゃんも友達が出来て良かった」
「あいつ友達いないの?」
取り巻きが数人居ても良さそうなのだが、まさかの一人ぼっちだったようだ。
僕ですらリアムという友達が一人居るのに、なんだか可哀想に見えてきた。
「あの性格だからね。皆近寄りがたかったのよ。でも今なら友達出来そうね」
「可哀想だから友達でいてあげます」
美雪先生は笑って、友達出来て良かったねと褒めてくれた。友達は数人で良いタイプだからあと一人くらいで充分かな。
「私の事はどう思ってるの?」
美雪先生は急に、世界で一番難しいだろう難問をふっかけてくる。
僕は一瞬の間で脳をフル回転させ、膨大な知識量から正しい答えを導き出す。これならよっぽど答え合わせしていた方が良いだろう。
「んーなんだろ。家族見たいな感じかな」
美雪先生の一言が出るまでがとても長く感じる。これは正解だったのだろうか?
「そう、なんだ」
笑ってはいないが嫌な顔はしていないので、恐らくドロー以上の成果はあるのだろう。
間違わなくて良かった。あと少しで職員室に居れなくなるところだった。
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