レアキャラ白髪碧眼美少女
「ハルトおきなさい!」
「えーまだ眠いー」
「美雪先生が待ってるよ!」
「おはようお母さん!今すぐ幼稚園に行こう」
「何言ってんの。バカ言ってないでご飯食べなさい」
「はーい」
社長との対談の為幼稚園をサボり、美雪先生エネルギーが足りない僕は、準備を早急に終わらせ急ぎ足で幼稚園に向かった。
「おはよう!美雪先生!」
園内で掃除をしながら挨拶していた美雪先生は、とても嬉しそうな顔になった後心配した顔に変わり、持っていた箒を忘れたかのように落とし急ぎ足で出迎えてくれた。
「おはよう!ハルト君!昨日はどうしたの?風邪でも引いちゃった?」
「大丈夫だよ。昨日は知り合いと会ってたから来れなかっただけで、何も無いから心配しないで」
「それなら良かった。心配したよー」
「ごめんね。次からは美雪先生に電話するから」
ほとんど担当状態になっている美雪先生は、僕の事をとても大事に思ってくれているようでとても嬉しかった。
お母さんとお別れをして、美雪先生と職員室に行くと色んな先生が挨拶してくれた。
そして数人が、お土産やお菓子を僕のバックやポケットに忍ばせてくれた。
何故か先生達は、珍しいお菓子やお土産などを僕へお供え物のように渡してくる事が通常になっていた。
最初の数日は職員室に居ると驚かれたり違和感を覚えられていたが、いつの間にか僕が居ることが日常になり、過ごしやすい空間になっていた。
これからもこの幼稚園にやる事が無くても通園するのであろう。
職員室に着いたら大きく成長する為、冷蔵庫に直行し牛乳一杯を一気に飲み干す。これが僕のルーティンになっている。
いつものルーティンをこなし、口周りに付いた牛乳髭を美雪先生に拭われ、珍しく朝イチで同学年のクラスに向かった。
「おはよー」
教室に入り適当に挨拶をすると、唯一の友人が話しかけて来た。
「珍しいな。教室に来るなんて」
「そうか?」
「いつも教室に来ないで職員室に引きこもってだろ」
「確かにそうだな」
何となくリアムと会話をし、元気に騒ぐ子供達を座って眺め友達にはなれないなと思っていると面白い話題が始まった。
「昨日なんで来なかったんだよ。せっかくレアキャラが来たのによ」
「レアキャラ?」
短い間だが一度も聞いた事の無い言葉が耳に入り、僕の知識欲を掻き立てられた。
「ああ。いつもは欠席している園内で一、二を争う美人か珍しく昨日来たんだよ!」
「どっちも知らないな」
リアムは僕に溜息をつき、呆れて説明してくれた。
「一人は会ったことあるだろ。特進クラスの夏希ちゃんだよ」
「あー、確かに見た目はいいよな」
ほとんど会っていないので忘れていたが、特進クラスの問題児夏希ちゃんは、かなりの美人さんである。
容姿は整っており情熱的な赤い髪は、凛々しさを
ただ性格に少々問題があり、どんな人にでも食ってかかる高圧的な少女なのだ。
「もう一人は?」
「白髪碧眼で日本人離れした綺麗な顔立ちの美少女なんだ。だがほとんど人が見た事が無く超絶レアキャラなんだよ。なんでも病弱で幼稚園に来る事も厳しいらしく、どの学年なのかすら分からない謎に包まれた美少女だ。そんな美少女が昨日一瞬だけ来てたんだよ!それをたまたま見たって訳」
リアムはオタク並みの熱弁をし、傍から見らストーカーのような情報収集能力を見せつけてきた。
「そんなにその子が好きなら元お前の想い人に教えてもいいよな」
僕は入園初日に、三股ホスト役をさせられたグループに近付くふりをすると、リアムは大焦りして本気の顔で肩を強く掴み止めてきた。
「お願いだからやめてくれ」
「冗談だよ」
僕はカラカラと笑い腕を払ってやり、元の場所に座り直した。
「そんな美少女なら会ってみたかったな」
「美雪先生一筋じゃないのかよ」
「美雪先生は好きだけど年の差がな。こっちは良くてもあっちがダメって言われるだろうよ」
「だよなー」
特に内容の無い雑談を再度開始し、ダラダラしていると一人白髪碧眼の美少女に面識がある事を思い出した。
「そういえば知り合いに同じ歳くらいの白髪碧眼美少女に覚えがあるな」
「まじか!もしかしたら同じ子かもな」
「どうだろうな」
「ちなみにどうゆう関係なんだ?」
「産まれた時隣に寝てた」
「なんだよそりゃ」
二人で笑い合い、五年ぶりにその子の会いたいと思ってしまった僕は、元気にしているか気になったのだった。
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