日給六万と一粒五百円のチョコ
重い扉を押し開くと、アリーナサイズの空間が広がっていた。中央に向かい前へ進むとゆっくりと扉が閉まり階層ボスを倒すまで退出出来なくなってしまった。
「お兄ちゃんこの階層ボスはゴブリンで弱いからさっきまでと同じように戦えば大丈夫だよ。だけど油断したら死ぬから気を付けて」
「あっああ。分かったよ」
お兄ちゃんは緊張し剣を強く握り締め、萎縮していた。
ダンジョンの中央に到着すると、僕達を囲うよう大量にゴブリンが産まれ、多種多様な武器を構え僕達を襲ってきた。
僕は一人でゴブリン達に突っ込み、一体一体切り刻んでいく。
「フェストは後ろ頼む」
フェストは僕の反対方向に進み、爪を出した腕を振りすると数体のゴブリンが肉塊になっていった。
「お兄ちゃん早くしないと全部やっちゃうよ」
お兄ちゃんは笑って付いた血を落とすように、剣をその場で振りゴブリンの元に走り戦闘を開始した。
「お兄ちゃんにも残してくれよ!」
数分後僕達はゴブリンを無傷で殲滅し、いくつもの死体の山を築いた。
「お兄ちゃんレベル上がってるんじゃない?見せてよ!」
お兄ちゃんはステータスを見ると、軽く驚いた様子でステータスカードを作り、渡してくれた。
「レベル三になってたよ」
「あんまり驚かないんだね?」
お兄ちゃんは僕の質問の意図が分かっていないようだった。あまりダンジョン関係の知識が無いようだ。
「お兄ちゃん、レベル三以上は世界にまだ二人しか居ないんだよ」
お兄ちゃんはこの世界でどれ程の偉業を成し遂げたのか案の定理解していなかったのだ。
現在の確認されている最大レベル等の常識を教えると、時間遅れで大きく驚いていた。
「お兄ちゃん凄くね」
「世界で三人目だからね凄いよ。動画を投稿したら一瞬で大バズりだよ」
「トップの冒険者の年収って余裕で億いくよね?」
「頑張ったら十億とかいくんじゃない?」
「まじ?」
「まじ」
お兄ちゃんは更に驚き考える事が出来なくなり、ステータスカードを手から落としフリーズしていた。
「冒険者としてやっていこうかな」
「お兄ちゃんなら余裕だろうね」
兄弟の会話をしていると、少し前まであったゴブリン山々はいつの間にかダンジョンに吸収され、代わりに宝箱が現れていた。
直ぐ中身を確認すると、低級ポーションが人数分入っていた。
バックの中三本全て入れ、目標のダンジョンの中層手前までクリアしているので帰宅することにした。
ダンジョンの外にあるブースでは、モンスター達の武器等のドロップアイテムや魔石を買取してくれる場所があり、ダンジョンの物をほとんど買取してくれる。
僕達は戦利品を持って買取に向かった。
「かなり頑張りましたね。レアドロップのポーションまであるので、かなりのお値段になると思いますよ」
少しの時間を待ち、全てのアイテムの鑑定が終わり、査定金額が記入されている書類を貰うと、そこには六万円の文字があった。
「たったあれだけで六万なのか」
「お兄ちゃんこの値段は結構妥当だよ。本当なら何日か
冒険者は、命をかけて戦う仕事な為リターンが大きいのだ。
更に今回低階層ではほとんど出る事が無い、レアドロップのポーションも含まれていたので高収入だったのだ。
ちなみに低級ポーションですら、一本一万円を下回る事は無い。
「これからは中層にも行けるからもっと値段が上がるよ」
「ちなみにどのくらい?」
「一対倒して数十万だったりとか?」
「まじ?」
「まじまじ」
僕達は報酬仕舞い、レンタル武器を返却してダンジョンを後にした。
帰り道僕達は話し合い、たまにダンジョンへ潜る事を約束した。
まぁ僕の場合は、誰にもバレず転移魔法でダンジョンに侵入出来るので好きなだけ狩るつもりだ。
「お兄ちゃんデザート買いに行こう」
「そうだな。今日は臨時収入もあったし高めのデザートにでもしようか」
「やったー!」
今日のデザートは三時から大きくズレてしまったが、家の近くにある大型デパートの一粒五百円チョコレートとなりました。
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