初めての幼稚園
いつもより長めの散歩から帰宅し、フェストと僕は手を洗い食べ損ねた三時のおやつを食べていた。
「ハルト!明日は幼稚園の面接と下見に行くからね」
「え?なんて?」
「幼稚園よ!」
「早くね」
翌日、僕は初めての幼稚園に行くことになってしまったのだ。
「行かないとダメ?」
「ダメです!友達作ってきなさい」
僕は予想より早かった幼稚園にわがままを言い、登園中も交渉した。
「でかくね」
幼稚園に着くとそこには、通常の幼稚園とは比べ物にならない大きな幼稚園があった。
幼稚園と言うよりも、低階層の小学校みたいだ。
「ここはね、待機児童が増えて国が何とかしようって言って作った結構すごいところなのよ。設備もしっかりとしてるし、先生も多いのよ。その分入園する子も多いから、沢山友達ができると良いわね」
国立幼稚園らしく、かなりのハイスペックであるらしい。
これならタブレット使えるかもしれない!
幼稚園の門の前に行くと、若い女の可愛らしい先生が待っていた。
「ハルトくんですか?」
「初めまして。ハルトです」
「上手に挨拶できるね!えらいえらい!」
今更こんな事で、褒められてもと思ったが、可愛い先生に撫でられるなら幼稚園に通ってもいいかもしれない!
先生に案内され職員室に行き、お母さんは別室でおじいちゃん先生と入園の説明と資料を貰うらしく、少し待っていて欲しいと職員室の端っこで待たされた。
暴れなければ好きなようにしていいとの事で、窓際で外を眺めてどのような施設なのか確認してみる。
この幼稚園には色んな遊具があり、ほとんど遊園地だった。
人数が多いからかサイズ別で似たものがあったりと、しっかりと考えられており、室内でも遊べる部屋中に軽いボールが敷きつめられたボール室や、魔法室と言われる魔力を測ったり魔法を使う部屋まである。
魔法関係の場所があるということは、かなり最近に出来上がった幼稚園なのだろう。
この国の政府は、とてもやることが早いようだ。
「何してるの?」
後ろから先程まで案内してくれた、可愛い先生が話しかけてくる。
「どんな所か見てた」
「そうなんだ。静かにしてて偉いね。この部屋から出れないけど、お菓子でも食べながら幼稚園のお話する?」
「うん!おやつ食べる」
「おやつなんだ」
先生は何故か少し変な顔をしたが、まぁいいでだろう。
なんたっておやつが食べれるのだから!どんなおやつかな?
今日も訓練してきたので、正直エネルギー不足だ。
訓練をすると魔力や体力が
なのでよくおやつを食べるのだが、お母さんに止められてしまうので、訓練後アンデットと戦った時のお肉を焼いて食べたりしている。
あの時のアンデットは、肉体は生きているので魔力を持った上質のお肉なのだ。
特にドラゴンのお肉は、僕とフェストの大好物!脂がのってて美味しいのだ。塩コショウや焼肉のタレをかけて食べると最高なのだ!
この世界は香辛料が安く手に入り、胡椒などふんだんに使えお肉にかけ放題!
更にこの世界のタレは美味い!
タレが良ければ、なんでも直ぐに美味しくなる。焼肉のたれイズベスト。
何が出てくるのかな?生姜焼き?照り焼き?早く食べたいな!
僕は足をパタパタさせて、大人しく椅子に座っていると先生がケーキとジュースを置いた。
ご飯じゃなかったな。
「ん?ケーキ?」
「?そうだよ?」
普通幼稚園のおやつと言ったら、沢山入ったアソート系だと思うのだがまさかの四角いケーキだった。
「おやつにしては高くない?」
先生は、なるほどという顔をして説明してくれた。
「確かに慣れちゃったけどそうよね。この幼稚園は国が作ったって知ってる?」
「知ってる」
「すごいね!それでね、国がお昼ご飯とおやつの為に沢山コックさんを呼んできてるの。それもすごい沢山。だからお金が少なくて作れるの!それに沢山作れば、もっとお金が少なくて作れるから普通のおやつのお金にちょっと多く出せばケーキが作れるくらいになるの。沢山買うと安くなるってことね」
なるほど、大量生産しているから安いのか。説目長いな。普通に喋って欲しい。真剣にそう思ったよ。
「だから四角いんだね」
「え?」
「沢山作ったら三角に切るの大変じゃん」
「そうだね。ハルトくん頭良い?」
「まぁまぁ」
ペロリとケーキを食べ終わり、ジュースを流し込む。とても美味しかった。
そこら辺のケーキ屋さんよりもレベルがかなり高く、ホテルのデザートに比べると多少は劣るがいい勝負しそうな味だった。
「先生っていつも何してるの?」
「んーよく寝たり映画見たりとか?」
「幼稚園でね」
幼稚園の先生の仕事が気になり、少し聞いてみたら休みの事と勘違いさせてしまった。
ナンパしてるみたいに見えるからやめてくれ。五歳じゃナンパに見えないか。
「んーお外のお掃除しながら皆をお迎えしたり、お勉強教えたりとか連絡帳書いたり.........」
かなり長くなり、幼稚園の先生は大変なんだと実感しました。子供の相手とか絶対疲れる。全員妹レベルなら楽なのに。
先生の頭を撫でて
危うく恋に落ちるとこだったよ。危ない危ない。
「あんまり褒められることないから、ありがとう」
頬を赤らめるな。可愛いな!目が赤いよ先生!
その後先生は連絡帳を書きながら、僕とお話をずっとしてくれた。
とても可愛かったです。
この幼稚園通おう。
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