新しい家族
「ハルトー!おーいハルトー!」
「な、なに?」
お兄ちゃんが家族と仲良くなるまでの事を思い出していたら、心配をかけてしまったようです。
「大丈夫だよ」
「大丈夫なら良いんだが、今日は家で何をしていたんだ?」
「今日はね!海外映画見てー、ピカピティービー見て、化学の勉強したー」
「すごいな!そんなにしたのか!偉いなー。でも海外映画わかるのか?」
「最初わからなかったけど分かるようになったー!」
ここ最近魔力トレーニングだけでは無く、勉強にも力を入れています。
今世は魔法では無く、化学が成長し全世界で高い知能指数を持っています。
前世では殆どが魔法で補われており、火の魔法を使う場合風魔法と合わせると、大きな炎になるとはわかっていました。
ですが、朝は明るくなり夜は暗くなるのと同じように当たり前だと思い、考えもしませんでした。
まさか火を使うのに空気ではなく、酸素を燃焼させる。酸素が無くなると火が消えると知り、こんな事考える人が居るのだと驚きました。
さらに、その知識を小さな子供も含め多くの人々が常識として受け入れていることに、素晴らしい世界だと思いました。
この知識を使えば、更なる成長があるのではないかとワクワクして
特に磁力を使った魔法や、銃をモチーフにした魔法を前世で使えば、魔王余裕で倒せたのではないかと思うと今すぐに練習したくなります。
他にも魔法に使える知識があるのではないかと、文字を読む為に国語。化学の計算の為に数学。この世界の歴史について知る為社会の勉強をしています。
更に全世界の論文を読む為、外国語の勉強として字幕付きで海外映画を見始めました。
するとこれがこれが面白いのなんの!
前世の物語は、桃太郎レベルの童話しかありませんでした。
娯楽がここまで成長してるとは、恐れ入ります。
外国語をマスターしたら、日本のドラマやアニメ等見ていきたいですね。
現代のダンジョン魔術知識は、ネットの動画で勉強します。
ここ数日はトップ配信者のピカピカティービーを見ています。
トップ配信者のピカピカティービーさんは、今世でのダンジョン攻略者としてもトップの強さを持ち、超上級者向けの動画から初心者向けの動画まで分かりやすく動画投稿しています。
そこに加えて、僕が生まれる六年前に全世界にダンジョンが生まれ、初めてのダンジョン潜入者でもあります。
と言うよりも、ダンジョンが生まれた時に巻き込まれてしまい、閉じ込められてしまった人なのです。
その時に手元にあったスマホで、現状を外部に届けるためLIVE配信をし一躍有名になりました。
つまりピカピカティービーの動画は、短いダンジョンの歴史そのものなのです。
ダンジョンが生まれ現在九年。
仮説ですがこのとても短い歴史が、僕が産まれて気付いた魔力がダンジョン外にほとんど無い理由です。
魔力はダンジョンから流れ出たり、モンスターを倒した場合。
また、植物が二酸化炭素を吸い酸素を放出するように魔力を出します。
ですが今世は、ダンジョン外で魔物が産まれず植物は魔力を放出しません。
それは、今まで魔力が無い事が当たり前で、魔力が有ることを前提とした進化をしていないからだと考えました。
つまりいずれは、魔力に合わせて進化し植物が魔力を放ち、野生のモンスターが産まれると思います。
その為ほとんど精霊や聖獣、魔族が存在していないと考えると、点と点が繋がるのです。
ちなみに人々が創造した神は、そこらじゅうにいます。
特に
「お兄ちゃんは、今日の学校どうだった?」
「実は近くの会社で職が決まったんだ!」
「おめでとう!じゃあみんなでご馳走だ!」
「ハルトはまた食べ物か。食べるの好きだね。程々にするんだよ」
「はーい」
その日は、お兄ちゃんの就職祝いで色んなお店からテイクアウトをして、家族全員でパーティーをすることになりました。
「お父さんどこで買うの?」
「んーまずはケーキだろ。チキンにピザにお寿司。このくらいかな。他に欲しいものあるか?」
「コーラ!」
お母さんは、家で妹のお世話しながら準備。お兄ちゃんは、準備のお手伝い。僕はお父さんと、お買い物に行く事になりました。
「お父さんあれ」
買い物を全て終え帰宅中、公園の前を通ると真っ白な犬の親子がいました。
「怪我してる」
親犬は足を怪我しており、子犬は血が出て赤くなってる傷口を舐めていた。
「ご飯を持っていてくれないか?」
お父さんは助けることに決めたのか、傷に触れないよう上着を脱ぎ少しずつ優しく声をかけながら近付いて行きます。
犬の親子は、グルルルと威嚇をしながらお父さんを睨みつけています。
そして親犬は子犬を噛み、山へ逃げ出していきます。
「ヒール」
「何か言ったか?」
逃げる親子犬に、こっそりと魔法で完治させます。
「なんでもない!仕方ないし帰ってみんなで食べよう!」
僕はお腹が減ったため、お父さんを急かします
「まさかまだ精霊に会っていないのに聖獣に会うとはね」
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