第48話 運命の出会いは二度起こる4

そうしているうちに予鈴がなった。

文化祭の終わりのアナウンスが流れる。

私たち生徒はこのあと自分のクラスに帰ってホームルームがあるけれど

来客はこの時間で学校を出ることになる。


「校門まで案内しようか?」

リリアちゃんは道に迷ってこの自転車置き場に来てしまったと思うので、私はそう言った。


「ううん、大丈夫。分かるわ」

「そう?」


「ねぇ、飛鳥ちゃん。このあと何するの?」

「このあと?ホームルーム、かな?」


「時間かかる?」

「どうだろう?うちのクラス展示しかやってないしそんなにかからないと思うけど……?」


うちのクラスは展示のレイアウトを準備する係と、片付け作業をする係で分かれていた。私は準備の係だったので何もなければ今日はすぐに帰れるはず。


「待ってるわ」

リリアちゃんの言葉の意味が一瞬よく分からなくて間の抜けた返事をしてしまう。

「ん?何を?」


「飛鳥ちゃんが終わるの待ってるわ。帰り道……、そうね、帰り道駅まで送って行ってくれない?」


「え?……いいけど?あ、でも遅くなったらごめんね」

「遅かったら適当に帰るわ。じゃあ校門で待ってるから」


「あ、うん……」


「じゃああとでね」と言ってリリアちゃんはグラウンドのある方に行ってしまった。

グラウンドに出れば校門は見えるはずなので、道に迷う心配はないと思うけれど。


私はリリアちゃんの後ろ姿を見送りながら首を傾げてしまった。

勢いで返事したけれど、一体なんだったんだろう。

リリアちゃんみたいに綺麗な人だと誰かに送り迎えしてもらうのが当たり前なのかな?

他にそんなことを私に頼む理由なんて思いあたらないし。




「あ、ポスター!」

私は本来、ここにいる理由を急に思い出して、先生に頼まれた通りに掲示板から文化祭用のポスターを回収して職員室に持っていくと

いつもより早く歩いて自分のクラスに帰った。


校舎の廊下を歩きながら

何かの聞き間違いなんじゃないかって、さっきまで話した内容を頭の中でもう一度整理してみたけど、

やっぱりリリアちゃんは私のことを校門で待っていると言っていた。


文化祭実行委員の仕事はもうなくて、放課後はそのまま帰宅していいことになっていた。



自分のクラスに帰るまでの間、ずっと考えていた。

リリアちゃんと偶然文化祭で会うところまでは、まだ分かる。

私のことを待っているってなんなんだろう。

やっぱり聞き間違いか、文化祭で疲れているのでそもそもが幻覚でも見えていたのかもしれない。


うーん……。

放課後になれば分かるか。

考えても分からないから、とりあえずホームルームが終わったら急いで校門に向かおうと思った。

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