第4話:黒猫、発見される
4-①
オレは、銀行強盗団BlackCat、通称BCのボス。すでに三カ所の銀行で犯行を成功させた令和史上、最も優れた銀行強盗だ。
世間では、いつオレたちが次の犯行に及ぶのか連日コメンテーターどもの予想が放送されているが、どいつもこいつも的外れなことばかり言ってやがる。
オレたちが犯行に及ぶのは、25日の就業間近。給料日で最も人が集まるこの日に、黒いパーカーに大きなボストンバッグをもち、旅行帰りの若者を装って、犯行に及ぶことにしている。
オレたちを見分けることができる唯一のポイントは、左の首筋に彫り込まれた黒猫のタトゥーのみ。
25日、夕刻。
オレたちの四カ所目のターゲットはこの銀行だった。このあたりでは一番大きな銀行で、利用者も多い。
オレはいつものように、黒いパーカーを着てボストンバッグを肩に掛けると、両ポケットの持ち物を確認した。
左手には拳銃を忍ばせ、右手にはスマホをリダイヤル設定で準備した。そして仲間を近くに待たせ、合図をすればすぐに出入り口を封鎖するようにと伝えた。
「さぁ、仕事の時間だ。」
オレはゆっくりと銀行の自動ドアをくぐり、待合スペースを抜けて受付へと向かおうとした。
すると背後から突如、声をかけられた。
「ようやく見つけましたよ…クロネコさん。」
………
「ようやく見つけましたよ…クロネコさん。」
何者だ!?オレは動揺しつつも、平静を装いつつ、声をかけてきた人物に顔を向ける。
髪の毛はボサボサで、頼りなさそうに見えるその男は、目だけがギラリと血走っており、こちらの一挙手一投足を見逃すまいとする独特の迫力あった。
「どちら様…ですか?」
オレは焦らず尋ねる。
するとその男は、
「私ですか?私の名前は明智耕助…しがない探偵ですよ…世間を騒がせている真っ黒な子猫ちゃんを捕らえることしかできないだけのね…!」
コイツ…まさかオレの正体に気付いているのか…?
オレは、この探偵がどこまでこちらの情報を掴んでいるのか確認するべくとぼけることにした。
「なんのことですか?」
すると、探偵は不適に笑い、
「見事に世間の目はごまかせているようですが…残念ながら私にはお見通しですよ。正体がばれないように、その黒いパーカーをきているんですよね?今からお仕事ですか?」
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