2-②
24日。夜。
私は依頼人を事務所へと呼び寄せた。
依頼人は前回と変わらずチェックのシャツをインし、ポスターをリュックに差し込んで現れた。
「お疲れ様です。何かわかりましたか?」
「ええ。非常におもしろいことがわかりました。」
彼のことを信用していない訳ではないが、どこから情報が漏洩するかはわからない。そこで25日に銀行を訪れるという最重要事項だけは隠し、調査内容を伝えると、彼は涙を流して喜んだ。
そして、彼はこう続けた。
「ああ、ようやく帰ってくるんですね。アニメが終了して、次は何を楽しみに生きていけばよいのかと絶望していました…」
「ですが!!これで私は確信した!私の未来は輝きに満ちている!!」
その瞬間、彼の左手が突如まぶしく光り!
「あなたのハートを撃ち抜くぞ!」
と、『セーラーハート』の声が響いた!
「まぶしい!!」
私はあまりの光量に目がくらんでしまった。
光が収束し、くらんでいた目が徐々に戻っていくと、自慢気に彼は左手を見せびらかすポーズをとって格好をつけていた。
「な…そ、それは!!?」
「ふふふ。どうです?この時計!アニメ化記念で限定50個の抽選発売となった代物です!敵の『海賊男爵』のフレーズに反応して、まばゆい光と『セーラーハート』の声がでるんですよ。」
「なんとうらやましい!私も応募したのですが…まさか、当選している人がいたとは!」
「いやー、何通も応募しましたよ!この時計は、ファンにとって垂涎の品ですからね!」
その後、すっかり意気投合した私たちは夜がとっぷりと更けるまで『セーラーハート』談義に花を咲かせるのであった。
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