第4話 ながめちゃんによる、回想。

「ながめと!」


はじめの」


「「ドキドキ麻雀講座!!」」


「いぇーい!」


「ええ歳こいた大人がこんなはしゃいで恥ずかしくないん」


「急に素に戻るなよ、暇なんだ」


「お姉さんの一芝居に付き合ったところで今日は牌効率について教わるでー」


「失礼だな、平日はこんなもんだ」


 アツアツの追いポテトをサービスしてもろて本題に移るでー


「じゃあ早速、はじめに質問」


「ふがっ」


 ポテトを口に入れたタイミングで言わんでも


「14枚の牌を揃えて役を完成すると和了ほーらにより点数をもらえますが……ズバリ、どうやって完成形を作るかな?」


「三人組を四つと二人組を一つ作るでー!」


「正解!」


 ソースを拭いてくれながらメニューを書いてた小さなボードに絵を描いて説明が始まる。 なんか隅に緩いキャラが残ってて完全に残影やった。


 🀇🀈🀉 🀊🀊🀊 🀔🀕🀖 🀞🀟🀠 🀡🀡


「はい、このようにまたはこれを一組として四組。 それとことで和了することができる。 ここまではオッケー?」


「左から順番に順子しゅんつ 刻子こーつ 順子しゅんつ 順子しゅんつ 雀頭じゃんとうやで!」


「そうだね、最後は対子といつとも呼ぶね。 はじめは賢いなあ」


 ごっつ気分がええわ


 はじめメモ

 ・順番に並ぶ牌は順子

 ・同じ牌が三つで刻子

 ・同じ牌が二つで雀頭または対子 


「そしてここではこれらを4メンツ+1雀頭と呼びます」


刻子と順子はメンツてことやな


「そしてはじめには五ブロック理論を覚えて貰います」


「おー小春ちゃんがいってたやつや!」


 そうして今度は第二のボードを召喚して説明開始や! やっぱりへんなゆるいのがうつっとる。


 🀈🀉🀊🀍🀏🀙🀝🀞🀟🀒🀓🀔🀂🀂


「それじゃあはじめ。 この配牌はいぱいで4メンツと1雀頭にしてみてくれ」


「えっとなあ」


 …………ごっつむずいやん


 🀈🀉🀊 🀍🀏🀙 🀝🀞🀟 🀒🀓🀔 🀂🀂


「うん、違うな」


「ええ!?」


 けっこう自信があったと言えば嘘になるけどこれには裁判官を呼ばせてもらうで! しかしお姉さんは面倒にも消して書き直した。


 🀈🀉🀊 🀍🀏 🀙 🀝🀞🀟 🀒🀓🀔 🀂🀂


「正確にはこう」


 かなり簡単にしてやったんだぞーて言われたけどいまいちなっとくできひん


「これやと5メンツ+1雀頭になるやん、ひとつ多いで」


「そうそこなんだよ、だからはじめには気づいて欲しかったな-」


 くやしいごっつくやしいんやけど。 一芝居売ってやったでと顔をそらすおねーさん。


「麻雀はここから山の牌をひとつツモ、もってきて一枚捨てるだろ? 今作ったメンツは4メンツと1雀頭にあまりの孤立牌こりつはいが一つだ。 🀍🀏を🀍🀎🀏の順子にしようとしたらはじめはどれを捨てる?」


「もちろん🀙や!」


はじめは賢いなあ」


「うちであそんどるやろ」


 指を左右に揺らして「甘いぜ」と一言


「覚えがいい生徒に私は感激してるんだよ、こんなに賢いなんて驚いたなー」


「……せやろ?」


 なんかちょろっとか聞こえた気がするけど今回は勘弁したるわということでポテトごちそうさまや


 はじめメモ

 ・5ブロックは4メンツ+1雀頭。 メンツオーバーは孤立牌を切れ《すてる》


「そしてここから牌効率の話をしようか」


「おお」


 メインディッシュやポテトより美味しいで。


 🀈🀈🀉🀉🀊🀋🀚🀜🀝🀞🀟🀡🀒🀓


「さあレベルアップだ! はじめ、君ならどう切る?」


「これは🀡やな」


 簡単すぎや、ドヤらせてもらう。


「はいドーン! ハズレ」


「えー嘘や!」


 ついに裁判官はお姉さんに異議を唱えて足を踏み込むで、最近覚えた言葉やから妙に使いたくなる歳頃や。


「🀡をすてたら聴牌役が完成したときにタンヤオが付くやんお得やん」


「そうだね、2~8の牌だけで聴牌すると役のタンヤオが付いてお得だね」


「せやろ、それなら」


「だがその考えがはじめをどん底に落としていくのだー!」


「ぬう」


 ほっぺたをごっつ揉まれた手が冷たいから気分が変になる


「さっきの牌を5ブロックにしてごらん」


「えーと」


 🀈🀈🀉 🀉🀊🀋 🀚🀜 🀝🀞🀟 🀡 🀒🀓

 or

 🀈🀈 🀉 🀉🀊🀋 🀚🀜 🀝🀞🀟 🀡 🀒🀓


「こうなる……やんな?」


「じゃあ🀉を捨てたときと🀡を捨てたときの有効牌を調べてみようか。

 まず🀈🀈🀉🀉🀊🀋🀚🀜🀝🀞🀟🀡🀒🀓は一向聴。 あと一枚仲間を持ってこれたら聴牌てんぱいできるね」


「せやなあ」


「さっきの手から🀉を除くと

 🀈🀈🀉🀊🀋🀚🀜🀝🀞🀟🀡🀒🀓になるね、それじゃあはじめ、有効牌はどれになるかな?」


「🀛🀠🀑🀔や、このどれかがきたらテンパイするで」


「そして同じ牌は一種につき4枚、だからこの場合4種16枚だね。 次に🀡を捨てたときは

 🀈🀈🀉🀉🀊🀋🀚🀜🀝🀞🀟🀒🀓とこの形。

 この状態で聴牌てんぱいできる牌を探してごらん」


「えーと🀠と🀑と🀔と……あっ」


「気づいたようだねはじめ


「🀡を捨てたら🀠🀑🀔の3種12牌で🀉捨てたほうがお得や!」


「いやー賢くなったなあ」


 これは賢くなったでえ!


「ちなみに選択肢として🀚を切るていうのもある。

これも3種12牌で美味しくないけどね」


「おお」


 いままで表面でしか見えてなかったものが見えないとこまで見ることで本当の価値を知ることができたでぇ……!


「いままではじめが負け続けてたのは効率の悪い選択を多く取っていたからだ。 麻雀は先に聴牌てんぱいしたほうがとっても有利だ。 だから最短の聴牌は相手に差を付け沢山、和了あがることができる」


「レベルアップや……!」


「これではじめも脱初心者の中級てところかな」


 うきうきがとまらへん……今すぐ麻雀がしたい!


「あと難しいけど亜両面とカンチャンを」


「お姉さんありがとー! またくるわ!」


「うおおいまじかあはじめまだ終わって……言っちゃったか」


 まだ半分なんだけどな


「まあ、楽しそうだからいっか」


 良い報告を待つよ、そう言って閉店の準備を行う


「ながめさんでしたとさ」


勝てよ、一。



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はじめちゃん、がんばる。 鬼ごろ氏 @OniOniitigO0

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