第2話 ながめちゃんと頑張る。

「おねーさーん」


 お小遣いを手に入れたうちは無敵や、おかんは無駄遣いすなー! てごっついうけどそれならなんでくれるんやろ? 今日は麻雀を教えて貰えるんやからそらもうウキウキや。


「おらへんのん? ええ匂いが焦げてまうで」


 頑張ってカウンターの中覗こうとするけどコレが全然ダメで腕が無駄にぷるぷるゼリーでもないのに動き始めるから困ったもんや


「ふう」


 簡単によじ登れる高さの椅子に座ってそのまま机にノートと筆箱じゅんびしてみたり。 そしたら真ん中に邪魔なもんあってずらそうとしたらそれがベルで置き手紙に「ご用の方はこちらで」と似顔絵付きで置かれ取った。 試しに押してみよ


「やあ、お嬢ちゃん呼んだかい?」


「いやまわりくどいわ!」


 ずっとしゃがんでたいきしとった。 ごっついじわるや


「おねーちゃんはよ麻雀おしえてやー」


「まあまあそのまえにご注文さ。 なににする? 新メニューのアボカドエビタコスがおすすめだよ」


「ポテトだけでええわ」


「辛辣だな」


「だってセット頼んだら二回しか教えてもらえんやん。 ポテトなら四回やで」


「無駄に賢いな、ほんとに小一か?」


 ■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫


「あーごっつおいしいわあ」


「揚げたてだからね」


 本来なら+20円であつあつにしてくれるらしい。 


「えー、ぷらす50円でサワークリーム付けられるやんどないしよ」


「よせ、来店回数が三回に減るぞ」


「こんだけ美味しいポテト揚げられるならポテト屋さんになればええのに」


「辛辣だな」


 難しい言葉やうちわからん


「ごちそうさまでした」


「いい食いっぷりに私も大満足だよ、ほら手洗ったら麻雀だ」


「わー!」


 そらもうトイレにポテトあるんかてくらい全速力で洗いに行った……トイレにポテトあるんはちょっと違うな、食欲無くすわ


 ポケットからハンカチ出して拭きながらお姉さんとこついたらパソコンと椅子が増えてて隣に座るように言われたらそこにはちいさな雀卓があった。


「すごー! でもうちの家にもテレビで麻雀できるんで」


「プレステ?」


「ファミコンや」


「今日一に辛辣だな」


 また言うたこの人


「おねーさんパソコンなににつかっとん」


「売り上げとか原価率計算、あと趣味」


「いぬ派か」


「履歴を見るな履歴を」


 ごっつ怒られたYouTube付けただけやのに。 主導権を奪われたパソコンは長らくの更新の後にまた麻雀画面に戻った。


「このプレイヤー名:ながめ てお姉さん?」


「そうだよ、かんむりながめ


「へぇ、まんまやん」


「そうだよ?」


「まんまや」


「え、なにこれドヤるとこなの?」


 ドヤったったで


「おねーさんが麻雀するん」


「違うよ、まずは君の実力がわかんないとどこから教えていいかもわかんないだろ」


「あ」


「どした」


「うちのなまえはじめていうねん」


「いまさらだな、知らなかったけど」


「せやろー」


 ほなはじめよかーてお姉さんの合図で対戦画面にきりかえたら「好きに打ちな」ていってくれたんやけど同時に「まとめて指摘するから」ていうからやる気が一気に親指までいってしもうた、もちろん足や。


 東一局 西家   25.000点

 🀈🀉🀊🀒🀔🀕🀙🀙🀚🀚🀛🀝🀡🀡🀅 ドラ🀘 


「はじまったで!」


「じゃあお手並み拝見させてもらうかな」


  「仕事暇だし」て付け加えたけどそれって痛いとこやん? でもいまはうちのターンやからお姉さんには頑張ってもらうで


 🀈🀉🀊🀒🀔🀕🀙🀙🀚🀚🀛🀝🀡🀡🀅 ツ🀆


「これはなあ」


 🀉🀊🀒🀔🀕🀙🀙🀚🀚🀛🀝🀡🀡🀆🀅 打🀈


「んん!?」


「どしたん?」


「ああ、いや。 続けて」


 なんかごっつ歯切れ悪い言い方やごっつ気になる。 でも今はまあ麻雀こっちに集中や!


 12巡目 北家 CPU

 🀉🀉🀍🀎🀏🀍🀎🀏 🀐🀑🀒🀔🀕 ツモ🀖


『1,300 700』


「あー和了あがられてしもたー」


「うん……うんうん、うん」


 めっちゃうなずいとる。


 これだけでなにがわかるんやろか?


 それから沢山打つつもりやったんやけど半荘一回終わったらパソコン取られて巻き戻された。


「じゃあ早速だけどきかせてもらうか」


「りょーかいやで-」


「それじゃあこれ」


 🀈🀉🀊🀒🀔🀕🀙🀙🀚🀚🀛🀝🀡🀡🀅 ツ🀆 ドラ🀘


 これはおぼえとる。 一番最初の局や、点数もみんな増えず減らずの25,000


「なんで🀈を切ったの」


「ピンズが沢山あるからピンズ集めて高いの作ろ思てん」


「そっか、それじゃあこっちは」



 🀈🀉🀊🀋🀌🀍🀎🀎🀏🀓🀝🀟🀠 ツ🀡 ドラ🀚


「なんで🀓を切ったの」


「いっこだけやから」


「うん、うんうんうんうん」


 やけにうんが多いわ


「……これは?」


 🀇🀇🀈🀍🀎🀏🀐🀑🀒🀙🀛🀜🀆 ツ🀆 ドラ🀆

 ながめ 38.000

 CPU  12.000

 CPU  24.300

 CPU  25.700


「🀜を切った理由は」


「チャンタ三色ねらってん」


「そっか」


 そしたらパソコン閉じて腕まで組んでまーずっと難しい顔しながらうえむいてん。 

 どないしたんやろ


はじめ、まずは牌効率から学ぼうか」


「おお」


 そのお勉強みたいなかっこよさにおもわずうちのリベンジマッチは輝いてしまうで!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る