はじめちゃん、がんばる。
鬼ごろ氏
第1話 はじめちゃん、頑張る。
お昼の公園は季節だけを風で伝えてくれる。
草の臭いはキュウリみたいに土臭くて同じ学校の男の子はずっとかけっこしてる。
すべりだい ぶらんこ おっきいすべりだい 滑車、決められたわけでもないのにみんな先頭の子についてまわってる。
うちはベンチに一人
「あーあ」
右足を前へ後ろへ 左足は後ろへ前へ
音楽室で先生が左右に揺らしとった三角形のおもちゃみたいに規則的に揺らしてる。 そんなことしても時計の針しか動かへん
「勝ちたいなあ」
いっつも弱いからついにのけもんにされてしもおた。
「どないしようか」
公園の上には室内で遊べるおっきな所があるんやけどそこで麻雀できる小学生はうち含めて五人。
でも「三人の方がマシ」とか言われたらうちだって傷つくねん。 四人集まることの方が奇跡やのに
言葉のとげは取れん、化膿するんや。 このまえ保健室の先生が「化膿するで-」ていってた、知らんけど。
「やっぱ本買わんといけんのかなあ」
腕を組んで難しい顔した大人みたいにかんがえてみてもやっぱり気分しか変わらへん。
沖縄旅行で買ってもろうたお気に入りのクジラのがま口財布には百円が沢山あるけど昨日、ちゃお買ってしもーて折りたたんだおじさんがおらんくなったんや。
確か大人が読むような麻雀の本はおじさん一枚より高い。 むりいったらお小遣い増えんかなあ
「それか大人に教えて貰うとか?」
いろんな人が住む名前だった気がする。 カラオケみたいにお金払ったら知らんおっちゃんと打てるんや、でもジェットコースターみたいに年齢制限あったらどないしよう。
「どれも現実的や無いなあ」
家のパソコンは一回泣くほど怒られてからお触りげんきんや、あと麻雀はなんでかおかんもおとんもするなー! 言うからバレるんやなぁこれが
詰んだ。
「ええにおい」
あたま動かしたら甘い物がごっつ甘いらしい。 でもこの匂いは美味しいの方や、小さな段差にかかととつまさきこすらせてようやく自分が無意識にたどり歩きしてたんに気づいてビックリ。
「だいじょうぶかい、お嬢ちゃん」
そんで優しく声をかけてくれたんがこれまたやさしそうなお姉さんやった。 おしゃれな車にエプロン姿で料理屋さんしてる。 匂いのしょうたいはお姉さんとキッチンカーやったんや。
「なにこれー」
「興味あるかい? うれしいな、お嬢ちゃんは私の極み丸一号機の初めてのお客さんだ」
「きわみまる?」
変わった名前や、男の子が好きな合体する奴なんかもしれん。
車には幕が垂れてて同じ料理の違う名前が載っとる。
緑と赤や茶色と黄色、茶色と茶色は一番高い。 でも
「同じのみたことあるわー、おねえさんパクッとん?」
「酷いな、標章登録て知ってる?」
首をふって応える。 これはさっきの音楽のとはまた違う断るときの振り方や、進化させると目が回る。
「おいしそうやな-」
「どうだいトルティーヤ専門店だよ愉快だよ」
まんまや
「もっと他店舗との違いを見せて欲しい」
「どうだいナチョス専門店だよ愉快だよ」
「商品名変わった」
「どうだいトトポス専門店だよ愉快だよ」
「なにそれなんなん」
「どうだいタコス専門店だよ愉快だよ」
「一緒やん」
「君ねぇ」
全然違うよと付け加えながらも手はずっと動いてて、気がついたらプレートにタコスかトトッポ? とかいうのを盛ったんをカウンターに置いて見せた。 よくみたら熱々のポテトもある! ケチャップとマヨネーズあるんが完璧やし小さなサラダボウルもある。 トマトに刺さった爪楊枝の旗がかわええ〜!
思わず財布をあけて百円を数えるけどいまここで使ったらとかさっきまで本とかパソコンとかおっちゃんとか色々ずっと先に待たせてしまう。
「今なら美味しいスープも付けてあげよう」
「ごっつお得やん! 買うた!」
うちまだ7才やし我慢できるわけないやんなぁ
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「はあ」
「いいねえ、売り手としては嬉しい限りだよ」
「なんなんこれぇ」
茶色で緑の粉がはいっとるスープがごっつ体をポカポカにしてくれてポテトは急いで口に運ぶけどほんまにアツアツでケチャップが冷ましてくれるんやけどホクホクで
「ホクホクやー」
「メインも食べてくれよ」
笑いながら受け流してポテトスープポテトで大満足。
「コレ持って帰ってもええ?」
「まあ、いいけど。 貸してごらん」
できたてが美味しいのにと悲しそうに言うから悪いことしてしもうたと反省。 袋に入れて運びやすくしてくれた。
「タコスありがとなー」
「ああ、トルティーヤね」
「トトッポちゃうん」
「それはトトポスね、またきてくれたらコレをあげよう」
そうして腕につけたストラップを拝ませてくれた。
「なんこれマスコット?」
「トルティーヤのとる丸くん。 二〇回目の来店でプレゼント」
「いっかげつやん」
「いや三分の一な」
「んーでもうちお金貯めんとなんよなあ」
「へー偉いじゃん」
「麻雀をなー、ごっつ上手くならんといけんのやけど本が高いんよ。 お姉さんのトトッポセット二つは頼めるんで-」
「トルティーヤね、うーんでもそれならお得に解決できるよ」
どうゆうことやろ? 不思議におもっとったけどお姉さんは嬉しそうにあたま撫でてくれて
「次来てくれたら私が麻雀を教えてあげよう」
「お姉さんが?」
帽子の唾をかっこよく直して決めセリフ
「こうみえて、大阪で四番目に強かったんだよ私は」
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