第53話 橋爪直人、父として
橋爪さんが俺の罪を被ってから三年の月日が流れていた。。
彼は模倣犯だったのだろう。。
もう出所している。
「ーー橋爪さんには随分とご迷惑をおかけして。。お祝いさせてくださいーー俺、おごります」
「何もしちゃいねーよ」
橋爪さんがどうでもいいと言わんばかりに言った。
「とにかく今日はおごらせて下さいーー」
「ありがとう。今日はごちになるよ!!」
「それより橋爪さん。あの時なぜ、俺の罪を被ってくれたんですか??」
拓実は聞いた。
「ただすみれを殺した犯人を知りたかっただけだ。その為に俺は刑務所に入ったんだーーだから、拓海、お前の為じゃない」
橋爪が冷たい口調でそう言った。
「でも、あれは俺の罪」
「何度も言わせるな!あれは俺の罪だ。そしてもう終わったんだ。。気にするな」
橋爪が言う。
もう終わった事だと。
だが、俺の中では何も終わっちゃいない。。
俺がコロシタのに。。
「すみれの事件の犯人を知る為に、俺は、拓海の身代わりになったんだ。。」
ホームレスとして生きていても、そこを通る誰がすみれを殺したのか?
俺には調べようがなかった。
拓実の身代わりになる事で、光太から情報を流してもらい、犯人を見つけ、俺なりの復讐をして、それで自らは手を汚さないようにするために。。
刑務所の中で待ち、山中光太からすみれの事件に関する情報を流してもらい、復讐する為にーー。
殺したくない。
そんな事はすみれが一番嫌がるだろう。
そう分かっているから。
だが、俺自信の感情がそれを許さないだろう。
自由の身でいれば、必ずコロシニイクダロウ。
すみれが感じた怖さを思い知らす為に。。
そんな事はダメだと分かっているのに。。
だから、俺は拓海の身代わりになった。そうする事で自分が犯すはずの罪を無くす為に。。。
俺はまだすみれの父親でいられているだろうか??
疑問符ばかりが、永遠と頭の中に繰り返される。
そんな時、すみれの声がした気がした。
「ーーお父さん、ありがとう」
すみれの笑顔が脳裏に浮かんだ。
「ごめんな。。すみれーー守ってやれなくて」
番外編 みゆたろ @miyutaro
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