第52話 光太とすみれ、回想。

彼女はいつも笑っていた。

幸せそうに。。


「俺(山中光太)と結婚してくれないか?まだこんな物しか買えないけど」


俺(光太)は情けなくそうプロポーズした時、クスッと笑って彼女は言った。


「ーー結婚ってね。金額じゃないし、物でもないんだよ。。ただ光太、あなたがいてくれればいいーーこちらこそよろしくね」


「ありがとう。この先もずっと一緒にいてくれますか??」


「何言ってんの?当然でしょ?笑っ」


相変わらず、眩しいほどの笑顔で彼女は笑った。


彼女と二人で過ごす未来に、色んな夢を描いていた。。


だけど、、彼女はもういない。。


彼女が亡くなった今日だけは特別だ。

これまで我慢してきた思いを、一人きりで吐き出す日。


彼女が死んだ事を改めて実感して、俺(光太)の目から涙が溢れだした。

それはまだ温かかった。

まだ俺(光太)が生きている事の証拠であるように。


ーーなんで、すみれだけが死んでしまったんだ。。


ーーなんで。。


翌日、俺(光太)の目は赤く腫れていた。

それ以外は何も変わらず、日常が過ぎていった。。


色んな出会いを求めて、また明日も生きていこう。。


どこかで踏ん切りをつけないといけない。。

そんな時期に入ったのかも知れない。


怖かっただろう。

何度も何度も助けを求めただろう。

だが、彼女は殺されてしまった。

なのに、俺(光太)は彼女を守れなかった。


けして、すみれを忘れない。


それでも俺(光太)は前を見て、歩いていかなければならない。

永遠にーー。


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