第51話 橋爪直人、真相

「ーー橋爪、面会だ」


警察官がいつもの様に、仏頂面で言った。


「誰ですか?」


「山崎拓海だ」


橋爪の顔面に喜びの表情が浮かんだ。

警察官の後ろを歩いていく。

腕の拘束が解かれると、椅子に座った。


「ーーすいません。橋爪さん」


拓海が突然頭を下げた。


ーーは?


「何だ?どーした?」


「ーー俺、自首したんです。自分の罪は自分で償うべきだと思って。。」


「うん。それで?」


「そしたら、もうこの事件の犯人がいるから、ってマトモに取り合ってくれなくて」


「ーーいいんだよ!拓海、ありがとうな。お前のおかげで、俺ちゃんと復讐出来たよ!高橋達也に。。」


ーーえ?復讐?


「ーーどーゆー事ですか?」


「拘置所にいる警察官が、俺の娘の彼氏だった人でなーー彼に協力してもらって、高橋にドッキリをしかけたんだ。その為のドライアイスと水、そして煙玉ーー」


「なるほど」


「そーしたらな。こんな顔が取れたんだ」


橋爪さんがニコヤカな顔で見せたのは、写真をプリンターで印刷した物のような、粗い画像だった。


「ここに写ってるのが、高橋達也だ!すごく間抜け面だろ?ーー娘の彼氏だった人に協力してもらって、火事だーって驚かせてやったんだ。そしたらこの顔」


橋爪はププッと笑いだした。


なんで、、なんで、、。

すみれは殺されなければならなかったんだろうなぁ?

ーー俺、悔しいよ。

ーー本当に悔しいよ。。


橋爪さんが突然泣き出した。

拓海ももらい泣きしそうになる。


「橋爪さん、よくそれだけで我慢しましたね。。俺ならーー」


そこまで言った時だ。


「ーー時間だ」


警察官の言葉で、俺は15分の時間が過ぎた事を知る。


ーーまだ話したい事が沢山あったのに。


「橋爪さん、カイトの件はあなたの罪じゃない。そろそろウソだったと伝えてください」


「それはいい。ーーもうこれは俺の罪だ。絶対に俺の、、俺の罪だ」


「俺また来ます」


拓海はそう言って別れた。

俺は、俺の罪をいつ裁いてもらえるのか。。

ただそれだけを考えていた。


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