第36話 橋爪と笠原

「あなたと橋爪さんは、一体どんな関係なんですか?」


「あの人はね、、私の叔父にあたる人なのーー何度も家に招こうと、声をかけてきたわーーでも、彼はそれを断り続けた」


家なんていらない。

俺は俺のやりたいようにやる、と。

結局あの人はホームレスを続けた。


家族も兄弟も何もかも、すべてを捨てて。


そんなある日の事だった。

叔父がいつも暮らしていた公園から、叔父の姿が消えていた。


「ーーここにいた橋爪さんは??」


「あぁ、あの人ならもうここにはいないよ!」


「どこに行ったのか、、教えて下さい」


ホームレスの人に私は聞いた。


「ーー今橋爪さんは警察にいるよ」


ーー警察?

ーー何で?どーして?


詳しくは分からないけど、、何か人を殺しちゃったんだってーー。


ホームレスはぼやくようにそう言った。

それは他人に興味を持たない、そんなホームレスたちの間でも一大事件として取り上げられ、色んな場所のホームレスがその事件の噂をしているのだと言う。


「そうですか、ありがとうございます」


私は軽く会釈をして、ホームレスに背を向けた。


ーーさて。


ホームレスが立ち上がる。

これから集会だ。

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