第36話 橋爪と笠原
「あなたと橋爪さんは、一体どんな関係なんですか?」
「あの人はね、、私の叔父にあたる人なのーー何度も家に招こうと、声をかけてきたわーーでも、彼はそれを断り続けた」
家なんていらない。
俺は俺のやりたいようにやる、と。
結局あの人はホームレスを続けた。
家族も兄弟も何もかも、すべてを捨てて。
そんなある日の事だった。
叔父がいつも暮らしていた公園から、叔父の姿が消えていた。
「ーーここにいた橋爪さんは??」
「あぁ、あの人ならもうここにはいないよ!」
「どこに行ったのか、、教えて下さい」
ホームレスの人に私は聞いた。
「ーー今橋爪さんは警察にいるよ」
ーー警察?
ーー何で?どーして?
詳しくは分からないけど、、何か人を殺しちゃったんだってーー。
ホームレスはぼやくようにそう言った。
それは他人に興味を持たない、そんなホームレスたちの間でも一大事件として取り上げられ、色んな場所のホームレスがその事件の噂をしているのだと言う。
「そうですか、ありがとうございます」
私は軽く会釈をして、ホームレスに背を向けた。
ーーさて。
ホームレスが立ち上がる。
これから集会だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます