第34話 あの時の真実

俺は席を立つ。


「ーーいいから聞いて」

 

笠原佐知子に腕を掴まれ、俺は仕方なくもう一度席に座った。


「ーーあの時はごめんなさい。ありもしない事で混乱させてしまって、、」


「だから、その事ならもういいです」


「鈴原くん、亡くなってた様ね、、。まだ若くてこの先の未来があったはずなのにね」


しみじみと笠原が言う。

俺は黙って笠原の言葉を待っている。

聞かなければ、帰して貰えなそうだからだ。


「今思えば、あの時の私は無神経だったわね。あなたの告白を断っておいてーーあんな嘘を、、」


「もう終わった事ですから」


「終わってなんかいないーー。この後、少し外で話せるかしら?」


笠原が言う。


「別に良いですよ。俺もあなたにウソをついていました。外で真実をお話します」


もうヤケクソだ。

どう考えても俺はその答えを決められないだろう。

それならばいっそーー。


二人は会計を済ませて外に出た。

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