第22話 安否確認

はぁ、、はぁ、、はぁ、、。


「おい、カイトーー大丈夫か?」


彼の体を揺すりながら、声をかける。だけど彼は何も言わない。動かない。

ーー俺は何をやってんだ?


心の中の俺自身が問いかけてくる。


ーー目の前を見ろ!お前はこの男を殺したんだ。

どーするんだ?オマエガ、コロシタノニ通報出来るのか?

ーーオマエハ、モウ、ハンザイシャだ。


心の中でそんな声が聞こえてきた。

俺の中にいるもう一人の俺が、俺を非難している。


ーーそうだ。俺は犯罪者。


何とかしなくては、、何とか、、。


ここは元工場だろうか?何もない。ただ一つだけ大きな箱の様なものが置かれている。それは冷蔵庫にも、少し似ていた。

こんな事になったのが、こんな場所で良かった。


ーーそうだ。あそこに、、。


男の遺体を大きな箱の中にしまう事を、咄嗟に思い付いた。


はぁ、、はぁ、、はぁ、、。


呼吸を整える程の余裕もない。

男の足を持ち、ゆっくりと進んだ。


ズルズルズルズル、、。


この男にはこんな無様な姿が似合っている。

俺は、、俺は悪くない。

コイツが、俺をバカにするから。

だから殺してやったんだ!!


そう、オレがコロシタンダ、、。


ようやくの思いで冷蔵庫のような大きな箱にそれをいれると、俺は当たりを見渡した。


ここにあるものは、短めの定規、石コロ、そしてレシート、マジック。


レシートと定規とマジックを手に取り、レシートの裏面に定規を使って書いた。


「ーー開けるな、危険」と。


その文字は定規を使って書いたせいで、どの文字も角張っている。

いわゆる筆跡鑑定は出来ないだろう。


俺はそのまま現場を後にした。

乱れた呼吸は、その日1日乱れていて。落ち着く事はなかった。


こうしてあの忌ま忌ましい事件は起きたのだった。

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